第3章
安西貴之が漣から呼ばれたのは漣文庫創立50周年記念パーティーから1週間後のことだった。
その日、毎朝ロイヤルズと福岡パイレーツの日本シリーズのゲストとして呼ばれていた彼は、水道橋のロイヤルズドームに出掛けた。
試合が終わってから同じゲストの柴山選手と新宿辺りで飲もうと談笑している時だった。
スタジアムの関係者専用の通用ゲートの前で安西は見慣れた顔を見つけた。
「高山さん一」彼は漣のお抱え運転手だ。
40代半ばの恰幅の良い体格を黒いスーツで包んだ彼は、安西に向かって会釈した。
「社長が駐車場でお待ちしております。
是非、ご紹介したい方がいらっしゃるそうですので」
「ええ、でも今日は僕も先約がありますから」安西が困って柴山を見やると、彼は別に気を悪くした様子もなく、
「構わんよ。他の暇な連中を誘うから」
と彼を解放してくれた。
「すいません、またの機会にご一緒させてください」
安西は先輩の彼に一礼すると、高山について駐車場へ向かった。
「やあ、試合が終わるのが待ち遠しかった。
君が驚くのを早く見たくてね」漣はロールスロイスの後部座席から手を振って彼を招き入れた。
夕暮れ近いドーム周辺は日本シリーズの興奮覚めやらずといった人々が群れをなしていた。
ロールスロイスは人並みをぬうようにして走って行った。
つづく一
この物語はフィクションです。
安西貴之が漣から呼ばれたのは漣文庫創立50周年記念パーティーから1週間後のことだった。
その日、毎朝ロイヤルズと福岡パイレーツの日本シリーズのゲストとして呼ばれていた彼は、水道橋のロイヤルズドームに出掛けた。
試合が終わってから同じゲストの柴山選手と新宿辺りで飲もうと談笑している時だった。
スタジアムの関係者専用の通用ゲートの前で安西は見慣れた顔を見つけた。
「高山さん一」彼は漣のお抱え運転手だ。
40代半ばの恰幅の良い体格を黒いスーツで包んだ彼は、安西に向かって会釈した。
「社長が駐車場でお待ちしております。
是非、ご紹介したい方がいらっしゃるそうですので」
「ええ、でも今日は僕も先約がありますから」安西が困って柴山を見やると、彼は別に気を悪くした様子もなく、
「構わんよ。他の暇な連中を誘うから」
と彼を解放してくれた。
「すいません、またの機会にご一緒させてください」
安西は先輩の彼に一礼すると、高山について駐車場へ向かった。
「やあ、試合が終わるのが待ち遠しかった。
君が驚くのを早く見たくてね」漣はロールスロイスの後部座席から手を振って彼を招き入れた。
夕暮れ近いドーム周辺は日本シリーズの興奮覚めやらずといった人々が群れをなしていた。
ロールスロイスは人並みをぬうようにして走って行った。
つづく一
この物語はフィクションです。