「そもそも僕は芸能人ではないですし。
それに野球選手だったら、もっとすごい人気者がいるじゃないですか。
毎朝ロイヤルズの浜田さんとかレイヤーズの浜田君は僕よりずっとメジャーですよ」
2年連続最多勝という実績を持っているにも関わらず、安西は自分をメジャーな存在だとは思っていなかった。
確かに京浜クワイヤーズは、優勝から20年以上遠ざかっていた。
安西とセーブの佐伯克彦が奮闘しても、他の投手が不甲斐なく打線も乱高下の波が激しく、強いチームとはいえなかった。
実際、彼はそうしたチームに在籍する者の宿命で常勝チームのスラッガー浜田や荒井投手のように有名ではなかった。
そんな立場の自分に木次写真集のモデルの依頼をしてきたのだ。
しかも、その内容は野球選手としてではなく芸能人のような立ち位置で撮りたいのだという。(僕なんか撮っても、売れる訳がないのに)
安西は、木次の真意が判らなかった。
「今日は取り敢えず、私の気持ちを伝えたくて来てもらった。まあ、ご挨拶といった所だ。
でも私は君に必ずイエスと言わせてみせるよ」線の細い優しい顔によく似合う口髭を蓄えたカメラマンは、伝票を持って立ち去った。
後には信じられないという面持ちの若者が残された。
つづく一
この物語はフィクションです。
それに野球選手だったら、もっとすごい人気者がいるじゃないですか。
毎朝ロイヤルズの浜田さんとかレイヤーズの浜田君は僕よりずっとメジャーですよ」
2年連続最多勝という実績を持っているにも関わらず、安西は自分をメジャーな存在だとは思っていなかった。
確かに京浜クワイヤーズは、優勝から20年以上遠ざかっていた。
安西とセーブの佐伯克彦が奮闘しても、他の投手が不甲斐なく打線も乱高下の波が激しく、強いチームとはいえなかった。
実際、彼はそうしたチームに在籍する者の宿命で常勝チームのスラッガー浜田や荒井投手のように有名ではなかった。
そんな立場の自分に木次写真集のモデルの依頼をしてきたのだ。
しかも、その内容は野球選手としてではなく芸能人のような立ち位置で撮りたいのだという。(僕なんか撮っても、売れる訳がないのに)
安西は、木次の真意が判らなかった。
「今日は取り敢えず、私の気持ちを伝えたくて来てもらった。まあ、ご挨拶といった所だ。
でも私は君に必ずイエスと言わせてみせるよ」線の細い優しい顔によく似合う口髭を蓄えたカメラマンは、伝票を持って立ち去った。
後には信じられないという面持ちの若者が残された。
つづく一
この物語はフィクションです。