山口は目を細めて語り始めた。「英雄、色を好む一昔からよく言われているが何故女を好む一ではないのだ?古来、英雄とは全てバイセクシュアルな要素を持っていたからさ。
城においては、美女と戯れ戦場においては小姓を侍(はべ)らしという具合にね。
昔の英雄とは今より拓けていたといえるね。
それは単に肉体の絡みに留まらす、精神的な面においては生死のかかった男同志の愛情の方がむしろ強かったかもしれない」山口はボーイから受け取ったお代わりのシャンパンを再度、飲み干した。
「私は、君を現代の数少ない英雄だと思っている。
確かに君は今まで数多くの女性と浮き名を流してきた。
肉体的には女性との交渉で満たされてきただろう。
しかし、君の精神はもっと高みの者を望んでいる。
自分の夢、思いを受け止めかつ共に育ててくれる者をだ。
それを求めるには女性では荷が勝ちすぎるのではないか?
もし君が心の底から人に恋するとしたら、最高の輝きを放つ同性にだと一
私は常々思っていたよ」
レミとのダンスを終えた安西は女性客に取り囲まれて、如才なくにこやかに応対していた。
「私が彼に一 ですか?」
漣は戸惑いの色を隠せなかった。
「そうだ。
何も考えこむ事はあるまい。
真に価値ある人間は、両性から愛されるものだ一。
私は安西君はまさしくそういう人間だと確信している。
君もまた然りだ。
だからこそ君は彼に惹かれて、手元においておきたいのだろう?」

つづく一

この物語はフィクションです。