「やあ、漣君。今日はお招きに与(あずか)ってありがとう」「山口さん、よくいらしてくださいました」
漣はにこやかに彼を招き入れた。
スポーツドリンクのCMに安西を起用した業界一のCMプロデューサー山口浩一(やまぐちこういち)はシャンパングラスを片手に彼等の許に歩み寄った。山口は今年50歳になる。
半白の髪をオールバックにまとめた恰幅の良い紳士である。
漣とは如月夕子や日下勇馬(くさかゆうま)という漣傘下の当代のスターをCMに起用した縁で、個人的にも親しい間柄だ。彼は安西とレミがダンスに興じる様を眺めながら言った。
「なかなか、お似合いじゃないか。
レミちゃんは、18歳位に見えるし安西君はまだ20そこそこにしか見えないからね。
まるで一幅の絵を見る思いがするよ。
和製のロミオとジュリエットという所かな」
その台詞に木次が反論した。
「お言葉ですが安西君と釣り合う女性などいませんよ。
彼は1人の方が断然良いと思います」
「これはまた、木次君は随分とあの青年に入れあげているんだね。
漣君も今は彼が一番のお気に入りのようだし」山口は手にしたシャンパンを飲み干した。

つづく一

この物語はフィクションです。