ムーンライトセレナーデの曲に合わせて踊る二人は周囲の注目の的になった。15歳という年齢にはとても見えないレミと、20(はたち)そこそこにしか見えない安西はとても9歳も年齢が離れているようには見えなかった。
「君位の年頃からすれば、24なんてオジンもいい所だろうね」
「いいえ、あたし同じ年頃の男の子なんて嫌い一。
まだ何も判らない子供だし、そのくせ乱暴だから」
「それじゃあ、君は子供じゃないのかな?」
レミは頬を赤らめ、少し膨れっ面になった。
「まあ一あたしも似たようなものね」
漣の秘蔵っ子に対するガードは相当なものだろう。
異性との付き合いなど厳禁されているはずだ。それでも自分にはレミを紹介してくれた。
その漣の好意が安西には嬉しかった。
「安西さん、横浜に住んでいるんでしょう?
あたし、横浜出身です。
すぐ近くなのになかなか帰れなくて。
懐かしいな。
ハマの香りがするみたい一」
「僕は東京生まれで、京浜クワイヤーズに入団した関係で横浜に住んでいるんだ。
良い街だね。
東京よりのんびりしていると思うよ」
二人は踊りながらとりとめのない話を続けた。やがて、レミは頬を染めて彼に告げた。
「あたし、安西さんみたいな人が一番好きです一。
もうしっかり自分を持った人。女優じゃなかったら、貴方みたいな人の恋人になりたいわ」
「おや、おや。その台詞は穏やかじゃないね」安西は軽くいなしてダンスを続けた。
漣はそんな二人を愛しげに見守っていた。
つづく一

この物語はフィクションです。