マナイ神は、狂った様に泣きながら詫びるクヌギを背後から抱き締めた。
マナイ神もとめどもなく流れる涙を拭おうとはしなかった。

「あの方は―お前に最期の姿を見せたくはないのだよ。
だから、行こう。我等は今すぐに神界へ行こう。」

クヌギは。マナイ神の腕の中で声を限りに泣き叫んだ。

¨サナヤ、最後にそう呼ぶのを許して欲しい。
そのいつまでも子供みたいな奴を俺の代わりにずっと支えてやってくれ。
頼んだぞ。」

「判りました。
先輩。」

マナイ神は、神々にクヌギの身柄を託すとマカゲに向かって全界の礼を執り行った。
その場にいた最高神一族も。
神界への道を渡る守護神一族も。
神界の古代神達も―。
バハラードを統べる絶対神に倣った。
全ての神々が―マカゲに全界の礼を捧げた。
ただ、クヌギだけはマカゲを仰ぎ見る事もなく、うなだれたまま泣き続けた。

神々は、全界の礼をとった後に音瀬界を去って行った。

マカゲは一人、
音瀬の洞窟に残された―。