ー私は臆病者ですから、自身を罰する事は出来ません。
従って貴方を罰する資格などあろうはずがないのです。ー

ーマナイ神様、限りなき寛容なお心ー。
恐縮の極みであります。
ですが、私はもはや生ける屍同然の身の上ー。
どうか慈悲の念をもって私めをお消し下さい。ー

マナイ神は首を振った。

ー私には意思ある者、まして清き心根を持つ者を消滅させる力などありません。
貴方の願いは叶えられません。ー

マナイ神は真顔になって、深緑色のクヌギの体に両手を差し入れた。

ー自らを崩してまで、闇に堕ちた者達を救済した貴方こそが真の慈悲神であります。

ーおよし下さい。
私はそのような者ではございません。
今の私の思いは有り体に申せば後悔であります。
何故、このような愚かな真似をしたかと自らの愚かさをただ、ただ呪うばかりの者にございます。ー

マナイ神は、クヌギを見つめた。
その目から涙が滲み出た。

ーそれでも、
貴方はこの道を選んだでしょう。ー

マナイ神の深い悲しみが、その奥にある熱い感謝の念がさざ波の様にクヌギに伝わってきた。

マナイ神は、更に深くクヌギの混沌化した体に両腕を沈めた。