かつて神界一の美丈夫と称えられ、神々の間でも憧れの的であった自分―。
一族以外の美しい女神との愛―。
幸福の絶頂だった神界での日々―。
全ては、その神界の惨い仕打ちによって打ち砕かれた。
愛する女神は、自分の醜い姿を見ても変わらずに愛してくれた。
それなのに、追放された我々一族を追いかけた時に不幸にも残っていた次元の裂け目に呑まれてしまった。
彼女を永遠に失ってしまった。
どれ程、神界と神々を憎んだ事か―。
しかし、復讐しようにも彼等は再び大きく口を開いた裂け目から逃れる為に、混沌化してしまった。
それ故に、いかに神界からの命を受けているとはいえ何の恨みもない最高神一族に憎しみをぶつけてしまった。
あの2人に対しても―。
確かに最高神一族の殲滅は、師の命令でもあった。
だが、長は羨望と嫉妬のあまり私情に走って汚い真似をした自らを恥じていた。
だから、¨気¨にいくら懇願されても総攻撃の命を下せなかったのだ。

「マケ…ヲ…。」

突然、クヌギが何事かを口走った。

「甘い!」

長は、懐に飛び込み喉元に小刀を突き付けたクヌギを思い切り突き飛ばした。