そして、自身は全く防御せずにバハラードの攻撃を受けた。
白いローブをまとったサナヤの体は無惨に切り裂かれた。
切られても、切られても溢れ出る血に終わりはなかった。

いつしか、サナヤの深層意識には奇妙な静寂が訪れた。
気が遠くなるばかりの激痛は続いていたが―
サナヤはマカゲやクヌギとの様々な交流を思い起こしていた。

―絶対神、畏れるな!―

マカゲさんは、そう諭してくれた。
判っていた―。おそらく、最初から心の奥底では自身の身分を悟っていた―。
覚えていなかったにせよ、最初から自らをマナイと名乗ったのだから。
ただ表向きは、従神という立場を素直に受け入れる事で、己を安易な道へと導いていったのだ。
逃げていた―。まさしく逃げていたのだ。
何という罪深い所業であったか―。
クヌギに対してもそうだった。
初めて出会ったその時、その瞬間から愛していた。
もうこれ以上考えられない程、魂が選んでしまった。
あの若者を―。
おそらく、クヌギが思ってくれた幾層倍も惹かれていたのに、ただ同性だというだけで自分はその思いから逃げてしまった。
浅ましく、卑しい自分―。
今更、バハラードに指摘されるまでもなく、人として神として最悪な道を歩んで来た―。
―つづく。