それは、人界でマカゲがサナヤに礼の種類について質問した時の事だ。

『神界には、
¨全界の礼¨
というのがあるそうだな。
それはどういう礼なんだ?』

『それは、一種の封じ手です。まず用いる事はありません。
その礼は神同士では用いられないのです。
…神が人や万物に対して心底の思いや感謝の念を顕す場合に用いる礼とされています。
しかし、失礼ながら神が人や万物に対してそこまでの礼を尽くす事態はあり得ないからなのです―。』


封じ手―。
全界の礼は一種の封じ手。
神々は、その礼を知っていても行う事はない。

だが―
バハラードは、
バハラードは、
バハラードは、
神に非ず!!

全てを悟ったサナヤは、胡座(あぐら)をかき両腕を横に広げ両手を下に下げ深々と頭を垂れた。
それが、全界の礼だった。
その姿勢をとるだけでなく、サナヤは全身全霊を込めてバハラードの出現を願った。
暫しの瞑想の後サナヤは念じた。


¨出でよ―。
バハラード。
全界の意志であり―理(ことわり)たるものよ。¨