自らが禁じた名こそが絶対神である証。
他の神々は口にする事さえ許されない名前を降臨した時点で易々と口にしていた自分―。
何よりありとあらゆる情報を神界から受け取りながら、唯一絶対神の御名を知らされていなかったのは―
自身が絶対神であるから。

しかし、しかし、しかし―。

今の自分に何が出来る?
人界神の身の上で―。
確かに、人界においての自分の能力には卓抜したものがあった。
だが、音瀬においては闇蓬来からの攻撃を神界からの制裁と誤解して、ただその責め苦から最高神をお守りするだけに心を砕き、何の力も発揮出来ずにここまで来てしまった。
そんな自分に一体、何が出来るというのだ。
サナヤは呆然としていた。
音瀬の民が、心配そうに周りを取り囲んだが、彼はあらぬ方向を見つめているだけだった。