音瀬において確かにマカゲは万能だった。
更に癒しの術においてもサナヤを凌ぐ技術を持っていた。
その事にサナヤは改めて気が付いたのだった。
マカゲは、そっとサナヤに告げた。

「俺は、人界では全くの凡人だった。
だが、この音瀬では万能の力を得た。
1度だけなら―そう1度だけなら虚無界へ送られた魂をこの音瀬に引き戻す事が出来る―。」

悲しみに打ちひしがれていたサナヤの瞳にありありと生気が甦った。

「何ですって!?それでは、最高神を生き返らせると仰るのですか?」

「ああ、音瀬になら呼び戻せる。」
マカゲは、クヌギの遺体の傍らに座った。

その額の上に、両手を重ね合わせる。
暫く瞑想した後に、重ねた手をクヌギの遺体全体に泳がせた。
マカゲの瞳は赤く光りその手から金色の光が顕れた。
光は。クヌギの全身を優しく押し包んだ。

「甦れ!
クヌギ!!」

マカゲがそう詠ずると、クヌギの体はぴくり、と動いた。
瞼がゆっくりと開かれた。
その切れ長な目が周囲を見渡した。
―つづく。