「サナヤ、一体何があったんだ?
闇蓬来の奴等、間もなく一斉攻撃を仕掛けて来るぞ。
今までの小競り合いとは訳が違う。
一気に決着をつける気だ。
そんな時にお前達がこんな状態では―音瀬の民を守る事も出来ない。
勿論、俺達自身も、だ。」

「申し訳…ありません。」

蚊の鳴くような声でサナヤは詫びた。

「まずいぞ。
これはとんでもなくまずい状況だ―。」

この世界でマカゲは、人界におけるサナヤを遥かに凌ぐ働きをしてきた。
しかし、サナヤと同じで攻撃力は持ち合わせていなかった。
闇蓬来が襲って来たら、今は戦う術がない。

「クヌギ~。
本当にどうしちまったんだよ。お前が戦ってくれなければ、俺達はどうする事も出来ないんだぞ。」

だが、クヌギは全くの無反応だった。

¨ピキッ。
ピキキーッ!¨

無数に分裂をして、3人を取り囲んでいた音瀬の民が一斉に警戒音を発した。

(とうとうやって来たか!)

マカゲの内部にも受け入れ難い邪念が迫って来た。
闇蓬来が一斉攻撃を仕掛けて来る―。

マカゲは心ここにあらずのサナヤに声をかけた。

「俺は―腹を決めた。
クヌギを守ってやれ。
お前と音瀬の民は―俺が守る!」

サナヤの瞳に僅かながらも生気が戻った。

「先輩…。」