「おい、クヌギ。
どうした?
しっかりしろ!」

偵察を終えて戻って来たマカゲは中庭に倒れているクヌギを発見した。
慌てて抱き起こしたが、クヌギは何も答えず焦点の定まらない視線を遥か彼方に投げ掛けているだけだった。

「おい、サナヤ。クヌギが大変だ。」

マカゲは、クヌギを屋敷の寝室に連れて行き、ベッドに寝かせると、サナヤを呼んだ。

「最高神…。」

サナヤは苦しげにそうクヌギを呼んだ。

「おい、こんな時にその呼び方はやめろ。」

マカゲはたしなめたが、サナヤは呆然としていた。
現実離れした面持ち―というより必死で苦痛に耐えている、という表情でクヌギを見つめていた。
今の彼は、クヌギに癒しの術をかける事さえ出来ないのだった。

「全く、どうしちまったんだよ。お前達―。」

マカゲが偵察に行ったわずかな間に神々は、重篤な状態に陥ってしまった。
ベッドに横たわるクヌギは、目は開いていたが、微動だにしなかった。
傍らの椅子にぐったりと座り込んだサナヤは、辛うじてその姿勢を保っているという衰弱振りだ。
音瀬の民達に問い質しても、さっぱり要領を得ない。
民達は、2人人何が起きたか判らない様子だった。