音瀬界へ来てから、どれ程の時が過ぎ去ったのだろう。
おそらく、人界よりも遥かに時の流れが遅いと思われる―。
クヌギは、耐え難い状況の中にいた。
人界では、神としての卓抜した能力を除いても自分がいかに恵まれた環境にいたかを否応なしに思い知らされた。
音瀬では―クヌギの若さも美貌も何の意味もなかった。
音瀬の民は、一定の形を保っていない。
従って美醜の概念がない。
何よりも民にとって重要なのは相手の心根の優しさであり、暖かさなのだ。
クヌギは最初の時点でつまずいてしまった。
だが、それはもう仕方がない。
それよりクヌギは音瀬へ来てからも尚、変わらないサナヤへの思いをどうしても本人に伝えたいと願うようになっていた。
マカゲが、闇蓬来の動向を探りに行った今、久々にクヌギはサナヤと2人になった。
クヌギは、部屋に閉じこもりきりのサナヤを中庭に呼び出した。
明らかに不調なサナヤの様子を気遣いながらも、クヌギは自らの思いを告げずにはいられなかった。
自分から顔を背けているサナヤに、クヌギは苦しげに声をかけた。
「サナヤ、俺はどうしても―どうしても諦められない。
何度も思い切ろうとした。
でも―駄目だった。」
クヌギは、サナヤの正面に立った。
「どうして顔を背けるんだ。
この頃は特にそうだ―。」
おそらく、人界よりも遥かに時の流れが遅いと思われる―。
クヌギは、耐え難い状況の中にいた。
人界では、神としての卓抜した能力を除いても自分がいかに恵まれた環境にいたかを否応なしに思い知らされた。
音瀬では―クヌギの若さも美貌も何の意味もなかった。
音瀬の民は、一定の形を保っていない。
従って美醜の概念がない。
何よりも民にとって重要なのは相手の心根の優しさであり、暖かさなのだ。
クヌギは最初の時点でつまずいてしまった。
だが、それはもう仕方がない。
それよりクヌギは音瀬へ来てからも尚、変わらないサナヤへの思いをどうしても本人に伝えたいと願うようになっていた。
マカゲが、闇蓬来の動向を探りに行った今、久々にクヌギはサナヤと2人になった。
クヌギは、部屋に閉じこもりきりのサナヤを中庭に呼び出した。
明らかに不調なサナヤの様子を気遣いながらも、クヌギは自らの思いを告げずにはいられなかった。
自分から顔を背けているサナヤに、クヌギは苦しげに声をかけた。
「サナヤ、俺はどうしても―どうしても諦められない。
何度も思い切ろうとした。
でも―駄目だった。」
クヌギは、サナヤの正面に立った。
「どうして顔を背けるんだ。
この頃は特にそうだ―。」