それは、文字通り地獄の底に引きずりこまれるものだった。
絶望、としか言い様がなかった。

何故、俺なのだ?何故?
バハラードにおいて、自分のごとき存在があり得るのか!?
こんな宿命を知る為に、音瀬界へと飛ばされたのか?
キリコの¨空¨の術の誤作動は切っ掛けに過ぎなかった。
おそらく、音瀬へと人界神と闇蓬来を引き入れたのは自分だ。
俺がいたから―。
彼等は、この世界に入り込んだのだ。
白札を創造した男の思惑通りに―。
そして、俺は―。
マカゲの心の動揺に呼応するかのごとく、常に曇天で朝晩の区別しかない筈の世界に凄まじい雷鳴が鳴り響いた。
マカゲの脳裏に屋敷の広間で横たわって眠る2人の神の姿が映像で浮かんだ。
その美しい横顔―。

マカゲは、2人を八つ裂きにしてやりたかった。
無抵抗な今ならそれも可能だ。
この2人に出会いさえしなければ、自分は何も知らずに人界での人生を送り、空世への道があると信じて、何の怖れもなく、¨死ねた¨だろうに。
俺は、とんでもないお人好しだった。
純粋にこの2人の行く末に同情して、ずっと行動を共にしてきてしまった。
こんな宿命が待っていると知っていたら、ついて行く訳がなかった。
俺は、
俺は―捨て石に過ぎなかった。