音瀬界には、人界とは全く異なる理論(セオリー)があった。

その最たるものが、エナジーを得る手段だった。
一種の等価交換とでもいうのだろうか。

音瀬では、この世界の意に叶った行動を起こす事が即ち、体力回復と生命維持に繋がるのである。
この世界の波長に合わせて、この世界を開発・貢献する事で直接的に生命維持が約束されるのである。

マカゲは自らの音瀬開発に一区切りをつけると、2人にこの地を開墾するように命じた。
自らも彼等と共に鍬(くわ)を降り下ろす。
そうやって3人は、この世界での生命を維持していったのだ。
人界での衣服はすぐに擦りきれてきたので、
マカゲは古来の神界の衣装―ローブに似た衣服を創造して神々に与えた。

暫くは、闇蓬来からの接触もなく―彼等もマカゲが創造した空間で順応するのに時間を要したのだろう―3人はひたすら音瀬界の構築に勤しんでいた。
いや、正確にいえば2人だった。マカゲとクヌギは、
懸命に働いていたが、サナヤはまるで気の抜けた風船の様になっていた。
3人で音瀬の地を開墾していても、始終その手を休めてぼんやりとしているのだ。