だが、問題は檪だった。
まだ環境の激変を受け入れかねている檪は、民に挨拶もせずにおどおどと周囲を見回すばかりだった。

「お前、さっき彼等に雷攻撃をしただろう?
せっかく、顔の傷を治してもらったのに。
まず、謝らなければ駄目だぞ。」

真影がそう促しても、檪はただ呆然としているだけだった。
それが、音瀬の民の怒りを倍加させた。
真影には、民の怒りと敵意がありありと見てとれた。

(仕方ないな。
まあ、そのうちに馴染むだろう。)

元々、誤解されやすい奴だからいずれ時を経れば彼等とも仲良くなれるだろうと思った。

音瀬の民は正確にいえば2種類に分類された。
独立した個性を持つ民が1人いた。
後は、無数に分裂したり一つの巨大な塊になる者達。
真影は一つの個性を持つ者を音瀬の長と名付けた。

実際に長は、もう一つの巨大な集合体である民を治める立場にあるらしかった。

―つづく。