よほど、精神が恐慌状態に陥っているのか。
真影は、早奈谷を促して共に檪の許へ辿り着いた。
檪が手から発する稲光で、途切れ途切れではあったが、状況を把握出来た。
檪の体には何か得体の知れない半透明の物質がまとわりついていた。

¨やめろーっ!
さわるな!
気持ち悪い―!¨

檪の恐怖が念を通して、真影の脳裏に響いて来た。

¨檪、落ち着け!¨

真影は檪の肩を抱いた。

¨ワァーッ!
ワッワッ!ワァーッ!¨

暗闇の世界に対する恐怖があまりにも凄かったのだろう。
檪のパニック状態は容易には収まらなかった。
真影は、思い切り檪の頬を叩いた。

¨檪!俺だ!
真影だ!判るか?早奈谷も側にいるぞ!¨

¨アアッ!アアッ!アーッ!¨

檪は、夢中になってすがりついて来た。

(全く―。
いつもと逆だな。)

¨ミー、ミー。¨

半透明のプヨプヨとした生命体が、今度は真影にまとわりついて来た。

(お前ら…。)

驚いた事に、
真影はその生命体を―
知っていた。

真影は、生命体の一つを取り上げ両手で掲げ持ち、額に押し付けた。
そして、まるで溢れたインクを吸収する吸い取り紙の如く、
真影はこの世界の知識と理を得た。