「別にいいさ。
あいつには、いずれ判っちまっただろうし。」

真影は、昼間学長に会って人界神の宿命を聞かされた事を話した。

「チッ!
あのおしゃべりめ。」

檪は、それ以上は何も言わなかった。

檪は、右手を捻って夕焼けの空に幾つもの万華鏡の様な紋様を描いた。
幾何学模様やベイズリー型の色鮮やかな模様はまるで無音の花火にも見えた。

結界を張ってあるから、その景色を見た人間はいない。

「綺麗なものだな。」

真影は、感嘆した。

「混沌化した神々は、神界の宙(ちゅう)にこうした紋様を描いて眺めるのを唯一の楽しみにしているそうだ。
案外、のんびりしてて楽しいかもな。神界も。」

「そうだな。」

真影は、それしか答えられなかった。

そして、一瞬ためらったが檪に尋ねた。

「お前、そんなにあいつが好きなのか?」

案の定の反応が返って来た。
檪は膨れっ面をして
「悪いかよ!?」
と怒鳴った。

「いや、別に責めてる訳じゃない。
実は、俺も4年前にあいつに告白して…振られた。」

意外な返答に檪は驚いて真影を見つめた。

「へぇー、あんたそんな風な人には見えなかったけどな。」