檪は、朝から湖の結界の点検に追われていた。
どうやら夕刻迄かかるようだ。

「じゃあ、俺は行って来る。
また明日な。」

真影はたまにはランドクルーザーを運転したいと、空間移動は丁重に断った。
2時間後―東亜に到着した真影は、宿泊先のホテルに車を停めた。
ホテルのレストランでゆったりとランチを楽しみ、徒歩圏内の東亜市庁舎迄食後の散歩を決め込んだ。
のんびりと大通りを歩いていると、そこへ鮮やかなメタリックブルーの高級車が近付いて来た。
派手にクラクションを鳴らされて、真影は驚いて振り向いた。
中から意外な人物が顔を出した。

「お久し振りね。真影の周さん。」

車窓から顔を出したのは、東亜大学の学長だった。

(ひゃっ!
ここでこの人に出会うとは。)

真影は、出版予定のない本への言い訳をどうしようかと大いに焦った。
だが、女学長は意外な事を言い出した。

「無理しなくていいのよ。
貴方逹の事はよく判っているから。
ちょっと、付き合ってくれる?」

「はあ…?」
促されるままに、真影は車に乗り込んだ。
―つづく。
この物語はフィクションです。