(こいつ!)
長は思わず我を忘れた。
体格の差は歴然としていた。
身長はかなりあるが、非常に細身の檪と筋骨逞しい長とでは格闘したら一瞬で勝負がつきそう立ったが―。

長は、檪に掴みかかった。
それを素早くよけると、檪は回し蹴りをかけた。
だが、長はそれをまともに食らう代わりに、バランスを崩した檪の両足を掴みそのまま数回回すと地面に叩きつけた。

「フッ、上等じゃねえか。」

顔面を血まみれ、泥まみれにして檪は起き上がった。

激しいダメージをものともせずに薄ら笑いを浮かべて長に近づいて行く。

「貴様!」

長が顔面に拳を決めた。
だが檪は怯まずに次の拳を上げた一瞬の隙をついて再び鳩尾に頭突きを入れた。
「!」
両手で鳩尾を押さえる長の右肩に檪は思い切り噛みついた。

「-ガアッ!」
言葉にならない悲鳴をあげた長と、その後はくんずほぐれつの取っ組み合いに突入した。

「最高神―。」

びびっている真影を気遣いながら、早奈谷は檪の炎の様な気性の激しさを思い知るのだった。
2人は精も根も尽き果てる迄殴りあった。