最初から全て自分の作戦は、この者に見抜かれていた。
とんでもない輩だ。
「無駄に演劇科に長居をしていた訳じゃないぜ。」

休学中も含めて都合8年間―。
真影の演技力は本物だった。
早奈谷が¨念¨で指示した通りに闇蓬来の動向に合わせて演じきった。
¨念¨とは一種のテレパシーである。
「貴様が先生にかけた術は、とっくに早奈谷が解いた。
先生には、真影さんを演じてもらっていたのさ。
今更、言うまでもないが―。
ようやく現れたな。
闇蓬来―。」
騙したつもりが騙されていた。
いつもは冷静な¨気¨の闇蓬来だが、思わず逆上した。
早奈谷は、自分の許に駆け寄った2人に防御呪文をかけた。

「最高神、存分におやり下さい。
人心を弄ぶ者に情けは無用です。」
早奈谷は、印を結んだ。
客間の窓が総開きになり、朝の眩しい陽光が室内に降り注いだ。
「グッ!」
¨気¨はその黒ずくめの姿を現した。

「よくも、俺の恩師を利用しようとしたな!
絶対に許さない!
覚悟しろ!」

檪は自らの念力で、¨気¨の闇蓬来の体をヴィラから引きずり出した。
自身も外に飛び出し、空中に飛翔しながら湖の上空で臨戦体勢を整えた。