檪は、重根を早奈谷から守る為にソファの前に立ちはだかった。「色々言われている人だけど、俺にとっては親父みたいな人なんだ。
これ以上、この人の心をいじるのはやめてくれ。」
「おどきなさい!
このままでは彼の魂の¨根(こん)¨が尽きてしまうかもしれません。
空世へ渡っても転生が不可能になってしまいます。」
¨根¨とは人の魂の記録コードである。
空世へ行くとその¨根¨の評価によって次の人生の環境が決定するとされている。
かけられた術に逆らっているとその¨根¨が消耗して失われる場合もある。
¨根¨を失うと空世に行っても記録がないから転生出来ずに永遠に空世をさまよう羽目になるのだ。
「そうかも知れない。
でも、これ以上重い術をかけたら先生の精神自体が壊れてしまうかも―。」
檪が迷っていると、不意に重根がソファから起き上がった。
間髪入れずに背後から檪を締め上げた。
「せ、先生。」
更にその喉元に隠し持っていた小型ナイフを突きつけた。
「油断したな。
庇った師匠にやられる気分はどんなものだ?
生身の人界神よ。
我は¨気¨の闇蓬来である。」
―つづく。