1ケ月後―。
湖の畔の朝は、煙る靄(もや)と水面を彩る7色の光の乱反射から始まる。
真影は、いつものようにヴィラ(山荘)から朝の散歩に出掛けた。
のほほんと走るでもなく、ダラダラといつものコースを歩く。
道行く人に
「おっはようございま~す。」
と朗らかに挨拶をして。

『一般の人々とは、ごく自然に接して下さい。
しかし、我々の存在は伏せておいて下さい。』
そう早奈谷に言い含められている。
あのヴィラに住んでいるのは、真影1人という設定にしてあるらしい。
そのヴィラからして、突如としてここに現れたのだが、早奈谷は自らの能力で周辺住民の記憶を操作しているから大丈夫だと説明した。

―檪 哲也
電撃引退!!―

―早奈谷 高樹も一身上の理由で引退へ―

2人の引退発表がなされて既に20日が経っていた。
早奈谷が世間の情報操作を巧みに行ったせいか思ったよりも、騒がれる事もなく、彼等は芸能界から―社会から消えた…。