「…まさか、あんな風になるなんて思ってもみなかった。
俺は、俺は神なんだろう?
何で撃たれたら怪我をするんだよ?」
膨れっ面をして、納得がいかないとばかりに問い返す姿は幼子(おさなご)そのものである。
「我等は、人界に人の型代(かたしろ)をもって降臨せし神。
人として生まれ、人として成長した神、
人界神(じんかいしん)
であります。
それは貴方もご存知の事でしょう。
我等が生身であるのは明白でありましょう!」
「…。」
檪は、まだ納得いきかねるといった面持ちで早奈谷を睨んだ。
「あの邪神は、簡単にやっつけられたじゃないか。
だから、俺はてっきり―。」
「天下無敵になったとでも?
…貴方はあの邪神ごときが我等の敵だとお思いか! ハッ!」
(は、鼻で笑ったよ。早奈谷君。)
真影はこんなにも激昂した早奈谷を初めて目の当たりにした。
彼は、元後輩で今は神となったこの青年のしたたかな迫力に圧倒された。
そして、あのホテルで早奈谷が語った台詞を思い出した。
『いいえ、私の重荷などあの方の背負われた定めの重さに比べれば、物の数ではありません。」
そう言ってこの若者を気遣っていたのに。