早奈谷が2人を連れて来たのは、東亜から西100キロ程離れたリゾート地伊來(いらい)にある湖の畔だった。
2階建ての洒落たヴィラがあった。
どうやらそこが2人の住居であるらしい。
1階には広々とした客間とリビングがあり、その奥に各自の個室が設えてあった。
「ほ~う、なかなかのお住まいじゃないか。」
真影は感心して呟いた。
客間ではなく、シンプルな造りのリビングに通され、そこで早奈谷は片肌を脱いだ檪の治療にあたった。
檪はおとなしく早奈谷の手かざしを受けた。
彼の指先から柔らかい金色の光が溢れ出て、檪の傷を丁寧に治してゆく。
その傷が癒える迄、3人は無言のままだった。

『そなた、癒し神だな。』
真影は、あの老僧が言った言葉を思い返した。
まさにその通りだった。通常なら、全治1カ月はかかりそうな傷を早奈谷は僅か30分で完治させた。
「…。」
傷を治してもらったのに、礼も言わずにそっぽを向いた檪を早奈谷は一喝した。
「人界の者(真影)をあんな危険な目に合わせて、貴方は神として恥ずかしくはないのですか!」
檪はビクッと身をすくませて、言い訳を始めた。