自分が全ての思いをかけた相手が、実は自らの僕の1人に過ぎなかった。
そして、この頑固で融通の利かない従神は、最早自分を愛情の対象としては見てくれないだろう。これから先、どれ程の時を経ようとも。
早奈谷にはそうした檪の思いが手に取る様に察せられたのだが―。
(お許しください。シュナク・サーレ様。これが我等の定めであったのです。
我等には人界での務めが、天敵との戦いが控えております。
貴方がお目覚めになった瞬間から、私は忠実な僕として生きる所存にございます―。)
真影は、早奈谷の真意を知る由もなく、ただ黙って焼酎を呑み続けた。
やがて、大きな伸びをして最高神が目覚めた。
彼は真影の姿を認めるとニヤリ、と笑った。
「俺は、オッサンを気に入っているんだぜ。」
真影が持っていたグラスを掠め取ると一気にあおってそう言った。
「いきなり俺のバック、取ったろ。
すっげえいい度胸してるじゃん!」
バックも何もあの時は無我夢中だった。
警告しても引かない早奈谷を何とかして守らなければ、という思いで一杯だった。
檪はあの時の経緯(いきさつ)をかいつまんで説明した。