「いいえ、私が思っているのはーこの僧は私が倒すべきだったという事です。」
思わず、
「え!?」
と同時に2人は目をむいた。
「表向きは神の従者を装い、影で罪なき者を徒(いたずら)に苦しめるーこの様な者に人界において生きる資格があろうはずがありません。」
「けど、お前はあいつが神罰とやらを下そうとした時に、必死に止めたじゃないか。」
「それは、最高神様のお手を汚すのが憚られたたからです。」
檪は妙に照れ臭そうに、そっぽを向いた。
真影は早奈谷を見つめた。
(そうは言っても、お前はじいさんを倒さなかっただろうよ。
昔からどこか人間離れした優しさを持っていて、周囲の連中に半端なく慕われてきた奴だからな。)
今の台詞もこの若者を気遣ってのものだろう。

「ファー。アアーッ。」
間延びした欠伸が聞こえた。
「疲れた。寝る。」
檪はその場に崩れ落ちる様に横たわると、あっという間に寝入ってしまった。
早奈谷は彼の許へ駆け寄ると、檪を背中に背負った。
(一体、何なんですか―っ。
このガキは。)
真影はただ呆れ果てるばかりだった。