「い、今から西羅に?ってもう9時過ぎだぞ。」
着く頃には日付が変わってしまう。
それにあの方って誰なんだよ!?完全にどこかが切れてしまっているー。
こんな早奈谷を見た事がない。真影は焦った。早奈谷は黙ったまま、後部座席から運転席へと乗り換えた。
助手席にいた真影が止めるまもなくいきなりランクルを発進させる。
「すいません、先輩、車をお借りします。」
事後承諾かよ!いきなり何なんだよ!
真影のそんな思いは全く無視されて、ランクルは一路、猛スピードで西へ向かった。だが、間もなく早奈谷は絶望的な声を上げた。「駄目だ。これでは間に合わない。もっと急がなければーもっとー。」
譫言(うわごと)の様に繰り返すと、いきなり車を路肩に止めた。
そして何やら手を組み瞑想を始めた。
こら、何やってるんだと突っ込む暇があればこそ、一瞬暗くなったと感じたらガラリと景色がその様相を変えた。
「ここは、西羅の荘厳園の境内です。」
早奈谷は疲れ切った声で説明した。
「え?え?せ、西羅って嘘だろう。
俺達、たった今まで東亜にいたんだぞ。」
真影には、さっぱり訳が判らなかった。