今は、仕事に打ち込もうー。
忘れられなくても、忘れなければー。
あの人を苦しめてしまうー。
身勝手な思いを一方的に押しつけてー。
何て情けないー。
檪は、自分の行動を恥じた。

そんな折り、檪は仕事で再び西羅へ赴いた。
檪の映画制作のスポンサーでもある西羅最大の園所(えんしょ)である荘厳園。(人界の神社仏閣に相当する言葉。以下、園〔えん〕と表現する。)そこの大僧正たっての依頼で園の今年開催される百年大祭のメインキヤラクターに抜擢されたのだった。
西羅ー。あまり行きたくない場所だったが、我が儘は言えない。人気はあるが、まだまだ駆け出しの身分では仕事の選り好みなど許される筈もなかった。
一方、早奈谷は東亜でナレーターやドラマの仕事を休みなくこなしていた。
彼の人気はすっかり定着していて、俳優部門で常にベスト3に入る不動の人気をいじしていた。あれから1週間が過ぎ去った。
彼等は仕事絡みで共演でもしない限り、2度と会わないと互いに思っていた。

だが、運命は再び二人を出会わせるべく、大きく波打ってきた。

もう一人の人間を巻き込む形でー。
ーつづく。