この若者に対する感情が、友情というにはあまりにも熱い思いである事に。
早奈谷は、自分の思いに打ちのめされた。
自分は今迄に何度か女性と交際したし、同性に惹かれた事などなかった。
それなのにー。何故この目の前の若者に心を奪われているのだろうか、と。
「すまない。悪いが今日はこれで失礼させてもらうよ。」
精一杯の平静を装って、早奈谷は伝票を取ると、出口へと向かった。
「早奈谷さん!」
檪が悲しげな声で呼んだ。
思わず立ち止まった早奈谷に檪は告げた。
「もし、貴方の思っている事が僕の思いと同じだとしたら、僕はー僕はその思いを決して恥じたりはしない!」
最後は涙まじりの声だった。
だが、早奈谷はその言葉にうろたえながらも、何も言わすにルストランを飛び出した。
それからは、携帯電話に檪から連絡が入っても一切無視をし続けた。
諦めたのか、檪から連絡が来なくなって1週間近く経った。
だが、夜中迄の仕事を終えてマネージャーと別れ馴染みの地下駐車場に車を取りに行った。
そこに、檪がいた。
「ここで待っていれば、会えると思っていました。」
檪は、微笑んで早奈谷を見つめた。
だが、すぐにその表情に困惑の色を認めて悲しげな顔になった。