「お言葉ですが、我々も誠心誠意を尽くして仕事をしております。
そんな言われようをされる筋合いはありません。」
自分はともかく、ロケ隊全員を侮辱する言い方に早奈谷ははっきりと反論した。
重根の背後で檪が二人のやり取りを眺めていた。
「おう!あんたおとなしい人だって聞いてたけど、案外言うねえ。
まあ、テレビで精々数字を取って自己満足してればいいんじゃない?」
その時、晴天だった冬空が一転した。
どす黒い雷雲が立ち込め、凄まじい雷が青葉山を襲った。
蜘蛛の子を散らすごとく人々は逃げ惑った。
「ワアッ!ワア―!」
一条の雷が驚いておたおたしている重根をまるで狙いをつけた様に襲った。
「危ない!」
間一髪―。
早奈谷が素早く横に跳んで、重根を抱き込んで転がった。
雷の直撃は避けられ、事なきを得た。
まるでそれが合図かの様に、雷雲は立ち消え、雷は嘘の様におさまった。
「重根さん、大丈夫ですか?」早奈谷が尋ねたが、彼はあまりの驚きとショックで口をあんぐりと開けたまま、放心状態だった。
早奈谷はゆっくりと立ち上がった。
重根は取り巻き連中に引き取られて行った。