■2007年1月12日付
ttp://hokkaido.nikkansports.com/baseball/professional/fighters/p-hf-tp0-20070112-141335.html
日本ハム2年目武田勝投手(28)が、旧友との合同トレに手応えを見せた。社会人シダックス時代の同僚、巨人野間口と茨城県内で自主トレを実施。チームメートの八木、巨人栂野の投手4人で11日は約6時間のハードメニューを消化した。野間口とは「日本シリーズで投げ合えたら最高」と夢を語り、八木が栂野にチェンジアップを教わるなど、チームとしても収穫は十分の様子だった。
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■2007年5月28日付け
ttp://hokkaido.nikkansports.com/baseball/professional/fighters/p-hf-tp0-20070528-205334.html
今季初先発の日本ハム武田勝投手(28)がきっちり仕事をした。勝ち星は付かなかったが、6回2失点と試合をつくった。「いい緊張感の中で自分をコントロールできた」。20日ソフトバンク戦の4回2/3を上回る今季最長イニングだったが、2日前に言われた先発マウンドで躍動した。
昨季日本シリーズ第3戦で勝ち投手になった相手に対し「去年はインコースを使っていなかったので」。相手データの裏をかく内角攻めも見せ、福留から2奪三振など6個の三振を奪った。3回の攻撃時には山本昌から左前にプロ初安打もマーク。「投げ合ったことより(山本昌から)ヒットを打てた方がうれしい」。帰り際、坪井に「こっちは何千回も振っているのに、簡単に打ちやがって」と恨み節をぶつけられ、苦笑いだった。
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■2007年6月6日付け
ttp://hokkaido.nikkansports.com/baseball/professional/fighters/p-hf-tp0-20070606-209355.html
先発した日本ハム武田勝投手(28)が7回無失点に抑え、今季2勝目をマークした。プロ入り後の最長イニングに並ぶ力投で、4安打に抑えコイ料理に貢献。お立ち台に一礼して上がったきまじめな左腕は「連勝は気にしないで投げた。僕の仕事は7回まで」と、マウンド同様に淡々と仕事をこなした。
変則的な起用にしっかりこたえた。今回の先発登板を言い渡されたのが5月31日で、1日には中継ぎ登板もこなしていた。時には中継ぎ、時には先発と“一人二役”に「こなす秘訣(ひけつ)? 深く考えないことです。出されたサインにうなずいて投げるだけ」。仕事人らしい答えだった。
昨年は11連勝の途中で打球を左手に受け骨折し、戦線離脱を余儀なくされた。「連勝より、また骨折するとか、いつ打球が飛んでくるのかと思っていた」と笑わせた。状況に応じて仕事をこなすハムの便利屋さんは、今年の連勝に欠かせない存在になっている。
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■2007年6月12日付け
ttp://hokkaido.nikkansports.com/baseball/professional/fighters/p-hf-tp0-20070612-212044.html
日本ハム武田勝投手(28)が、1球に泣いた。1発に沈んだ。今季3度目の先発マウンドとなった巨人戦。8回先頭の代打矢野に許したソロ本塁打1点で敗れた。初回1死満塁のピンチを連続三振で切り抜けると、7回までは完封ペース。プロ入り後自身最長の8イニング、最多タイとなる97球を投げて初完投も、失投を運ばれた1発でフイにされた。
未知の世界に突入した直後だった。巨人戦初先発の武田勝がプロ入り後、自己最長イニングとなった8回だ。先頭打者で迎えた代打矢野の一打に泣いた。1球に泣いた。「もう少し慎重に行けばよかった」。表情を変えずボソッとこぼした言葉に、悔しさをにじませていた。
全体の内容が良かっただけに痛恨の被弾だった。内角のボール気味に投げたスライダーが、やや真ん中に入った。計8安打されたが、強力の巨人相手に失点はその本塁打のみ。「のらりくらり自分の持ち味は出せたと思う」。5日広島戦の7イニングは更新したが、プロ入り初完投はホロ苦かった。
佐藤投手コーチは「勝を責めることはできない」とかばった。10日に背中の痛みで“登板回避”の守護神マイケルが、この日も無理させられない状況だった。8回表の武田勝の打席では代打も考えられたが、そのままバッターボックスへ。続投が求められる事情もあり、自己最多タイの97球を投じた。
八木、金村ら先発陣が離脱したチーム事情で、交流戦後に先発もこなし、交流戦防御率は1・23。驚くような剛速球はないが、変化球を低めに集め凡打の山を築く。関東一高時代は速球派にあこがれ、大リーグの剛腕ノーラン・ライアンのビデオを見ていたが、そこでサークルチェンジに開眼。チェンジアップを駆使する技巧派に変貌(へんぼう)を遂げた。
先発、中継ぎとフル回転する左腕が話してくれた。「僕、前ならえができないんですよ」。手術の経験こそないが、左ひじは高校時代から故障続きで、真っすぐ伸びず、伸ばしても約20度曲がったままだ。もともとは上手投げだったが試行錯誤の末たどり着いた、サイド気味の変則フォームの礎にもなっている。
今季3度目の先発で今季初黒星こそついたが、ヒルマン監督が「両先発が良く、本当の野球ファンには心から楽しんでもらえただろう」という投手戦の一翼を担った。連勝が「14」で止まった9日ヤクルト戦と同じように、投手中心に接戦に持ち込む日本ハムの形にはなっている。13日から本拠地で、再び進撃が始まる。【
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■2007年8月22日付け
ttp://hokkaido.nikkansports.com/baseball/professional/fighters/p-hf-tp0-20070822-245076.html
クールな左腕は、投球も崩れ知らず。日本ハム武田勝投手(29)が、オリックス打線を牛耳った。先発し7回2/3を無失点に抑え8勝目を挙げた。奪った三振は3と少ないが、許した安打もわずか3本と抜群の安定感で防御率を1・87とした。チームも貯金を16に増やし、首位快走の勢いも衰え知らずだ。
頭もストレートになった武田勝が、マウンドでも直球を生かした。緩い変化球を織り交ぜ、130キロ後半の直球を何キロも速く見せた。「1点差を何とか守り抜こうと思った。苦しいなりに投げられたのは良かった」。8回途中まで試合をつくっての8勝目。紛れもない連敗ストップの立役者だった。
淡々とした投球の中にも、意地が見え隠れした。前回7月25日に特大の1発を浴びたローズを3打席完全に封じた。7回には、その試合で145メートル弾を打たれた内角低めを133キロで果敢に攻め、見逃し三振。「そこを使わなければ抑えられない。同じコースでまた勝負」。時にはかわし、時には大胆不敵な投球でほんろう。ローズが誕生日だと知らされると「僕も誕生日に勝ってないので、それはしょうがない」と勝負師の顔だった。
ブルペンから調子が悪いという自覚もあったが、終わってみれば完封リレーの基盤をつくった。「1点差ゲームだったのでいつも以上に精神的にきた」と漏らしたが、徹底して先頭打者に気を使い、1度も出塁を許さない投球術。球団では92年6月ロッテ戦以来となる打点なしのスミ1勝利を、導き出した。
前日に、以前から頭に描いていた“作戦”をついに決行した。札幌市内の美容室で、天然パーマの頭髪にストレートパーマをあてた。さっぱりとイメージチェンジした姿で、散髪いや散発の3安打。年齢こそ違うが、プロ入り2年目の同期で、やや長い髪を振り乱していたオリックス平野佳に投げ勝った。
防御率もついに1点台に突入した。登板前まで2・00だった数字を、8回途中まで投げながら、さらに1・87まで引き下げる驚異的な内容だ。1・70で防御率リーグトップのロッテ成瀬もすごいが、負けず劣らずの抑えっぷり。「あんまり興味ないです」と素っ気なかったが、堂々のリーグ2位だ。
バックも左腕をもり立てた。5回には水口の三遊間のゴロを遊撃の金子誠がダイビングキャッチで出塁を許さなかった。6回には坪井が、抜ければ二塁打という前田の当たりを1回転で好捕。「朝見たら、びっくらこいたけど、勝が初めてストレートパーマをあてた記念日だから勝ちたかったよ」と必死のプレーで盛り上げた。武田勝は「ホント、助かりました」と感謝した。
変則サウスポーの粘投と堅守で、チームの連敗は2でストップ。貯金も再び16に戻した。計画中のお立ち台のかぶり物パフォーマンスについて、武田勝はお立ち台で「もうちょっと待ってください」と真顔で笑わせた。顔色一つ変えずに投げ続ける左腕が、パ・リーグ連覇へ欠かせない存在になってきた。【村上秀明】




