阿佐ヶ谷スパイダース 「少女とガソリン」 | 週末シアターゴアーの傾く日常

阿佐ヶ谷スパイダース 「少女とガソリン」

2007年6月9日(土)~7月4日(水) ザ・スズナリ
作/演出/出演:長塚圭史
出演:中村まこと(猫のホテル )松村武(カムカムミニキーナ )、池田鉄洋(猫のホテル)

中山祐一朗、伊達暁、富岡晃一郎、大林勝、下宮里穂子、犬山イヌコ(ナイロン100℃


手練れの役者達による役者祭りの様相を呈しているのです。


通常、役者祭りとなった場合、そこが表現の中心となってしまい
「それだけ」になりがちなのですが、それだけに終わっていない
あたりは見事なのです。


しかし、その劇のスタイルは、非常にオーソドックスであり
古めかしくさえあると感じられるのです。


それは、その(演劇的省略を多用する等の意味での)抽象的表現
にあると思われるのですが、もちろん、全ての抽象的表現が古めかしい訳
では無いのです。


例えば、ケラ、野田秀樹、ブルースカイなども抽象的表現を多用する
作家と言えるのですが、決して古めかしくは感じられないのです。


それは、ケラや、野田秀樹、ブルースカイなどには、表現に独特の手つきが
感じられるからなのです。


つまり、長塚圭史には、表現に独特の手つき、つまり演出を含む作家性が希薄だと
言えると思われるのです。


長塚の手つきとして、挙げられるのは、物語レベルでの「閉塞した状況」や
「グロテスク性」(本公演では腕の切断など)があるくらいなのです。


そのため、スタイルとしての古めかしさが、そのまま表出してしまっていると

感じられるのです。


全体として、やはり物足りないのです。