雑誌「Sure」 20148月発行インタビュー和訳


 [勤勉な役者、チ・チャンウク]

 

ドラマ「奇皇后」のタファンにさよならを言ってから二か月たったこの日、私たちは休養を楽しむチ・チャンウクに会った。

 

チ・チャンウクは普通の人だ。もちろん、私たちは彼のルックスのことを話しているわけではない。タファンが共感しやすい役ではなかったのに、チ・チャンウクは強い意思で、タファンによって自身のありかたが変わることはなかった。彼はたゆまない努力によってこのようなバランスを保っている。普通のチ・チャンウクは勤勉な人だ。勤勉に演じながら、休みの日は落ち着いた日常を過ごす。ありがたいことに、チ・チャンウクからは、芸能人が特別だと考えているような見栄やこだわりはまったく感じられなかった。

 

休みはどう過ごしているの?

『次の日曜日に、みんなでサッカーの試合に出る。電話でチームメイトと話したんだけど、みんなこの試合に勝ちたいと思っているんだ』

 

デートとかはしないの?

『ドラマや映画の撮影や仕事がないときは、無職の人のように過ごすんだ。「奇皇后」が終わってから何もやっていない。何か新しいことを習ったほうがいいと思って、ギターを習おうとした。でも一人じゃできないから、ちゃんと教えてくれる先生を探している。音楽が好きだし、バンドメンバーはクールに見える。僕が好きな2BICの二人と食事をしたことがあって、彼らから音楽を学んでいるんだ。』

 

「奇皇后」のタファンとしてほぼ半年を過ごした。現実のチ・チャンウクに戻るのは難しかったのでは?

『演技をしている間もずっと、キャラクターの感情から自分自身を切り離すことは、僕にとって難しい問題ではなかったです。撮影中も、キャラクターと自分自身の間に線を引くことができます。ただ毎日やっていた仕事が終わったことと毎日会っていた人たちに会えなくなったのが少し寂しいけど。毎日の生活が変わったことで空っぽになった気がして、毎回のことながら、こういう感情は自分ではコントロールできない。この感情を乗り越えるためにどうしたらいいか悩んでしまうから、これこそ学ばなくてはならないことかもしれない。こうやっていきなり自由な時間がありすぎると、どう対処したらいいかわからない。友達とお酒を飲んだり、会ったりしても、一日か二日は何とか埋まるけど、何か月も何もやらないのは難しい。』

 

前回は何を習ったの?

『外国語を学ぼうとしたけど、ストレスを感じてしまって、失敗に終わった。そのあとでファンにもらったからギターを習おうとして、学ぶ意欲を強く持ち続けるはずだったんだけど、もう何か月も楽器としてではなく、部屋の飾りになっている。』


多くの人は休みをとにかく休んで、何もしないけど。

『僕はじっとしてられないんですよね。働くことが好きで、ワーカーホリックではないかと時々聞かれる。仕事がない時は、いつも何かを見つけて、それを習おうとしてしまう。』

 



今までいろんな役を演じてきたけど、これからチャレンジしたい役はある?

『「奇皇后」が終わってから二か月たったけど、まだ何も計画はない。なんとなく映画をやりたいという思いがあるだけ。コメディやスリラーがいいかなとか。自分のいろんな面を人に見せたい。まだやったことがない役はいくらでもあるし、やりたい役もたくさんある。』

 

チ・チャンウクなんだから、やりたい作品を選べる立場にあるでしょう?

『それは役者にとって幸せなこと。役者にとって一番悲しい瞬間は仕事があるよと言われないこと。今はそういうことになっていないから、どれだけ感謝しているかわかってもらえないでしょうね。』

 

作品を選ぶときに一番重要な点は?

『ストーリー。台本を読んでおもしろいと感じたり、台本自身に惹かれるかどうか。もう一つ大事なのは、自分が役を演じるにあたり、自信があるかどうか。その役に対して不安だったら、うまく演じることができないと思う。』

 

ということはタファンという役に対して自信があったということ?

『その通り。でも周りの人は心配していた。正直言うと、タファンという役は「奇皇后」の前のチ・チャンウクにとっては不安視されることばかりだった。でも放送が始まってから、多くの人が僕が役にぴったりだったと言っていると聞いた。』

 

周りの人があなたについて言うことを気にする?

『「自分の演技が他人の影響を受けないように。 でもその代わりに視聴者も無視しないこと」という言葉がある。噂や他の人の意見で自分の演技が変わるのは嫌。でも同時に「まったく気にしない」とも言えない。役者は大衆から100%自由になることはできないから、役を分析して理解することにより力を注ぐ努力をするんだ。まずは自分に自信をもって、揺らがないようにする必要がある。バランスをとれないと、疑問が生じ、他人の意見に揺らぎ溺れてしまう(笑)。』

 

役を分析するってどうやるの?

『その役が成長した過程の経験や環境を考える。これまでこの人物はどんな考え方をして、どんな不安があったんだろう?って。僕自身、今の僕になるのにいろんなことを考えて、不安を乗り越えてきたから。キャラクターを分析するときは台本を何度も読む。教科書みたいに。台本を100回読んだ人は10回しか読んでいない人よりはいいし、1000回読んだ人は100回読んだ人よりいいと思う。それが事実。』

 

最初からそういう勤勉な役者だったの?

『ハハハハ。全然。大学一年のとき、2学期間、すべての科目に警告を出された。でも退学というほどではなかった。すべての科目がFだったけど。勉強する理由がわからなかった。演じればすべてうまくおさまると思っていた。偶然、インディムービーやミュージカルを21歳の時にやり始めた。でもステージやカメラの前に立ったら、演じるということは思っていたように簡単ではないということがわかった。声は緊張に震え、動きもぎこちなかった。あらゆる罵詈雑言を浴びた。そのときに、「あー。僕はうまく演じることができないんだ。だから先輩は練習して勉強しているんだ」ってはじめてわかった。だから、大学に戻るしか選択肢がなかったんだ。それからは、努力するようになった。』

 

その時に学んだことは、今でも助けになっている?

『確実に。今もよく利用している(笑)。撮影現場では、学んだこと(の重要性)を無視することはできないです。特に「ソル薬局の息子たち」の撮影中にたくさん学びました。ソン・ヒョンジュの台本を覗いてみて、彼がどのように演技をしているのかをよく観察していました。撮影現場の先輩たちは僕にとって教師となっていました。』

 


デビューしてから7年ですが、トレンディドラマはまだやっていないですよね

『クールなキャラクターをやる自信はないんです。お金持ちの会社役員や貴族、王子様のような役がありますが、自分がその役をやっていることが想像できない。登場人物が自分を一番大事だと思っているのは、コンプレックスだと思うんだよね。ドラマや映画の登場人物でも、現実の人間でも、欠点があるからこそ、その人が立体的で魅力的に見えると思うんです。ルックスにコンプレックスを持っている人でも、それを乗り越えようとする努力がその人を輝かせると思う。完璧な人にはそういう経験ができない。』

 

チ・チャンウクの欠点は何ですか?

『たくさんあります。でもそれについて話したくはないです。こういう形で役者の欠点を公開するということが役者を輝かせることにはならない。逆に、隠せば隠すほど、成長し成熟していくと思います。』

 

それは役者の「ミルダン(訳者注:韓国語のスラング。ロマンチックな関係を表す言葉。押したり引いたりという感じの意味)」でしょ?だからバラエティにも出ないの?

『バラエティは怖い。自信がないから出ない。見るのは好きだけど。出演するとなると、見る人を楽しませないといけないし、生き生きとしていないといけないけど、自分がそうできる自信がない』

 

「チ・チャンウク」を検索したら、出てくる関連用語はどんな言葉がいい?

『「いい役者」。僕は俳優が仕事なので、仕事をしっかりとこなすサラリーマンと感じが似ています。「チ・チャンウクは性格がいい」というのはあまり特別な感じがしない。「信用できる、頼りがいのある役者。演技がうまい役者。いつも成功する役者」―こういう評価は役者としてベスト。僕は何よりまず役者だから』

 

あなたは仕事に対して非常に野心的なようですね。でも、いずれ疲れてしまったら?

『「奇皇后」の撮影で忙しかった時、完全に疲れ切っていた時があったんです。スケジュールが忙しかったわけではなく、ドラマが長くて、半分終了した段階で、もう見せられるものが何も残っていないと感じたんです。感情的には、これ以上インスピレーションを得ることができないように思えました。』

 

どうやって克服したの?

『このインスピレーションと呼ばれるものは、いつでも、どこからでもやってくるものなんです。明け方に音楽をかけて車を運転しているときでも、友達と話しているときでも、少しの間一人でいるときにでも、すっと訪れるものなんです。夕日を見てふっと涙が出たときとか、ほかのドラマを見て若返ったように感じたときでも。こういうインスピレーションが訪れる瞬間を逃さないというのも、役者の能力の一つだと思うんです』

 

ポジティブなんですね。

『いつもそういうわけではないです。普段よく笑いますが、疲れるときもあります。暗い表情で「なんでこんなに難しいんだ?なぜ自分自身の人生をそれほど困難にするのか?」というような考えに囚われてしまうときがある。でも誰かがサッカーをしようと誘ってくれると、うれしくなってしまう(笑)。疲れているときはそれを否定しません。どうせそう見えてしまうので。毎日幸せな人はいませんが、一生不幸せが続くわけでもないです。みんなそうでしょ?』



※誤訳あるかもしれません。

※翻訳内容を転記、コピー、リポストはご遠慮ください