■ホロコースト(holocaust)

元来はユダヤ教の宗教用語である燔祭(獣を丸焼きにして神前に供える犠牲)を意味するギリシア語で、のち転じて、火災による大虐殺、大破壊、全滅を意味するようになった。現在では、第二次世界大戦中のドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺を指す。英語では、前者を定冠詞をつけて固有名詞とし(the Holocaust)、後者を普通名詞 (Holocaust) として区別している。動詞としても使用されることがある。

■語源および語の使用の変遷

ホロコーストは「全部 (ὅλος holos)」+「焼く (καυστός kaustos)」に由来するギリシア語「ὁλόκαυστον holokauston」を語源とし、ラテン語「holocaustum」からフランス語「holocauste」を経由して英語に入った語であり、元来は、古代ユダヤ教の祭事で獣を丸焼きにして神前に供える犠牲、「丸焼きの供物」、すなわち燔祭を意味していた。またここから派生した意味に「火災による惨事」があり、一般的にはこちらの方が主に使われていた。のち転じて、全焼死や大虐殺を意味するようになった。

ホロコーストに相当するヘブライ語は「オラー (olah)」であり、「焼き尽くす捧げもの」を意味した。

日本では、永井隆が長崎への原爆投下を「神の大きな御摂理によってもたらされた」とし、原爆投下を「大いなる燔祭(en:Holocaust (sacrifice))」と解釈したことが論評されている。

■ショア

ホロコーストに相当するヘブライ語は「オラー (olah)」だが、特に「ナチスによるユダヤ人大虐殺」を指す場合は“惨事”を意味するショア (השואה) が用いられる。かつて英語では「ジェノサイド」などが用語として一般的だったが、1978年アメリカNBC系列で放映された長編テレビドラマ『ホロコースト 戦争と家族』("Holocaust")が話題となり、流行語となったこの語が「ユダヤ人大虐殺」を表す言葉として普及した。イスラエルでタカ派リクード政権が発足した後、1985年にはイスラエル政府の資金提供を受けた映画『ショア』が制作され、日本では1995年に上映されて以降、「ショア」という用語が普及した。