富士山噴火はいつ起きてもおかしくない状況のようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/smqjt669/18944009.html

さて富士山にも近い箱根はどうでしょうか?

『Wikipedia 箱根火山の形成史』より   
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%B1%E6%A0%B9%E7%81%AB%E5%B1%B1%E3%81%AE%E5%BD%A2%E6%88%90%E5%8F%B2

「約50万年前からは箱根火山の北東部に狩川溶岩グループ、北西部では大唐沢溶岩グループ、そして南部では湯河原火山の活動が始まった。ともに玄武岩や玄武岩に近いタイプの安山岩からなる成層火山であったと考えられている。」

※成層火山…成層火山(せいそうかざん 英: stratovolcano)とは、ほぼ同一の火口からの複数回の噴火により、溶岩や火山砕屑物などが積み重なり形成された円錐状の火山のこと。地形と内部構造によって類別された火山形状の一つである。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E5%B1%A4%E7%81%AB%E5%B1%B1

「約35万年前からは、現在箱根外輪山を形成する金時山や明星ヶ岳などの噴火活動が開始したと考えられる。ともに玄武岩や安山岩から成る成層火山で、地形や噴出物の内容から、金時山や明星ヶ岳とも現在はカルデラ内部となっている場所に火山体の噴出口があったと考えられている。
 金時山や明星ヶ岳の活動とほぼ同時期、現在の芦ノ湖付近に火山体の噴出口があったと考えられる山伏峠火山体、十国峠付近に火山体の噴出口があったと考えられる白糸川溶岩グループなどの活動があったと見られている。
 約30万年前からは、中央火口丘付近に火山体の噴出口があったと考えられる深良火山体などの活動があった。このように箱根火山では複数の成層火山の活動が続き、成層火山群が形成されていった。」

「約27万年前から23万年前にかけて、引き続き成層火山の活動が続いていて、この時期には箱根外輪山を形成する明神ヶ岳の活動が見られ、その他にも箱根火山の西部では丸岳火山体、現在の元箱根付近に火山体の噴出口があった海の平火山体が活動した。
 27万年前からは成層火山の活動とともに単成火山の活動が活発化した。単成火山は箱根火山の北西部と南東部に集中し、単成火山群が構成されるようになった。この時代に活動した単成火山群は、北西部は長尾峠溶岩グループ、南東部では根府川溶岩グループと呼ばれていて、ともに安山岩やデイサイト質の噴出物からなる。
 同じ時期、箱根火山体の南東部にあたる白銀山周辺でも米神溶岩グループ、江之浦溶岩グループといった活発な火山活動が確認されている。」


※単成火山…1回だけの噴火で形成されたもの。複成火山の一部である場合も多い。また、単成火山が多数集まっていて、全体が一連のマグマ活動と考えられる場合、単成火山群として複成火山扱いとすることがある(伊豆東部火山群、阿武火山群、小値賀火山島群など)。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E5%B1%B1

「約23万年前から、箱根火山の噴火の様式は一変した。これまでは比較的小型の成層火山が複数噴火活動を続けていたものが、大量の流紋岩質、デイサイト質の溶岩を噴出する大規模な火砕流を伴う噴火活動を見せるようになった。このような大規模な噴火は約23万年前から約4万年前までに繰り返された。」

「箱根火山のカルデラの成因についてはいくつかの説が唱えられている。久野は大陥没によって現在の箱根カルデラが誕生したと考えた。陥没の原因については、当初は火山活動以外のものを想定していたが、その後、大規模な噴火活動があったことが明らかとなったため、大噴火後に地面が一気に陥没してカルデラが誕生したとした。
 …ところが久野の晩年の研究で、陥没は一気に発生したわけではなく段階的に進み、陥没後に起こった侵食の結果、現在の箱根カルデラが出来たと修正された。
 …その後、箱根カルデラはまず箱根火山の南東部が大規模に崩壊した山体崩壊が発生し、その結果、馬蹄型のカルデラが生まれ、その後、馬蹄型のカルデラ内に中央火口丘が噴出したというモデルが提唱された。」

「箱根火山ではカルデラの形成を伴う大規模な火山活動は、約23万年前から始まった。中でも最も古いと考えられる活動はTm-2と呼ばれるテフラ層を形成した活動である。約23万年前と考えられるTm-2の活動以後、10回以上大規模な噴火活動が確認されており、ともに大規模なプリニー式噴火であったと考えられ、デイサイト質や流紋岩質のテフラや、中でも規模の大きな活動では広範囲に火砕流が流れたと考えられ、噴出物の総体積は規模が大きな活動では5-10立方キロメートルにもなった。」

※テフラ…テフラ(古代ギリシア語: τέφρα、英: tephra、ギリシャ語で「灰」の意)とはシグルズール・ソラリンソン(アイスランド語: Sigurður Þórarinsson、英: Sigurdur Thorarinsson)によって定義された語で、火山灰・軽石・スコリア・火砕流堆積物・火砕サージ堆積物などの総称。火山砕屑物とほぼ同義であるが、ある程度広く分布するものに用いられることが多い。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%95%E3%83%A9

※プリニー式噴火…地下のマグマ溜まりに蓄えられていたマグマが火道を伝って火口へ押し上げられる際、圧力の減少に伴って発泡し、膨大な量のテフラを噴出する。これら噴石や火山灰、火山ガスを主体として構成された噴煙柱(英語版)の高さは通常でも1万m、時には5万mを越えて成層圏に達し、1日から場合によれば数日、数ヶ月の長きに渡り周囲を暗闇に包む。やがて巨大な噴煙柱は自らの重みに耐え切れずに崩れ落ち、火砕流となって四方八方に流れ下り、時には周囲100kmの距離を瞬時に埋没させる。このような巨大噴火の後には、カルデラが形成される場合もある。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%BC%E5%BC%8F%E5%99%B4%E7%81%AB

「約13万年前から箱根火山の噴火の形態が変わった。これまで外輪山の北西と南東山腹で続いていた単成火山の活動が終息し、火山活動はカルデラ内部のみに限られるようになった。この時期の噴火はデイサイト質や流紋岩質の溶岩を大量に噴出し、頻繁にプリニー式噴火を繰り返してデイサイト質のテフラを大磯丘陵や伊豆半島北部に降下させた。特に約12万前から10万年前にかけては活動が活発で、1000年未満の間隔で爆発的なプリニー式噴火を繰り返し、大量のテフラを降下させた。」

「約8万年前から4万年前にかけて、箱根火山では再び大規模な噴火が繰り返されるようになった。中でも小原台軽石層、三浦軽石層、東京軽石層は大規模な火砕流を伴った活動であり、特に約6万5000年前に発生したと考えられる東京軽石層の噴火は、箱根火山の噴火の中でも最大級のものであった。
 東京軽石層による噴火では、東京軽石と呼ばれるデイサイト、流紋岩質の軽石が降下した。軽石の層は東京付近でも約20センチに達した。その後、デイサイト質の大規模な火砕流が発生し、火砕流は西側は富士宮市周辺、東側は相模湾を渡って三浦半島にまで達するなど、高度の高い場所を除くと箱根火山から半径約50キロの範囲を火砕流が埋め尽くし、最後に安山岩質のスコリア流が派生した。この時の噴火の噴出物の総体積は、5-10立方キロメートルになる。」

※スコリア…火山噴出物の一種で、塊状で多孔質のもののうち暗色のもの。岩滓(がんさい)ともいう。
 主に玄武岩質のマグマが噴火の際に地下深部から上昇し、減圧することによってマグマに溶解していた水などの揮発成分が発泡したため多孔質となったもの。発泡の程度は一般に軽石より悪く、発泡の悪い(孔の少ない)ものは火山弾や火山礫に移化し明確な区別は決められていない。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%82%A2


※東京軽石層…平塚市博物館 (火山の砂2)を参照ください。
http://www.hirahaku.jp/web_yomimono/geomado/sdtabi08.html

「約4万年前以降、箱根火山は中央火口丘でこれまでよりも比較的静かな火山活動を続けている。」
「まず約4万年前から、中央火口丘の中心部に古期神山と呼ばれる成層火山の活動が始まった。この時の古期神山の活動で発生した火砕流が早川を堰き止め、仙石原湖と呼ばれる湖が誕生した。また古期神山の活動と同時期に、台ヶ岳、小塚山、丸山といった中央火口丘の東側列の溶岩ドームが噴出した。」

「約2万7000年前からは駒ヶ岳の噴出が始まり、駒ケ岳成層火山が形成された。そして約2万年前から1万8000年前にかけて駒ケ岳では山頂部に溶岩ドームが形成された。約2万2000年前からは現在の神山の活動が開始され、火砕流が北東方向に流下したことにより仙石原湖は仙石原湖と先芦ノ湖に分断された。2万2000年前の神山噴火と同時期には、神山南西にある陣笠山が噴出した。約2万年前頃が中央火口丘内の活動が最も活発で、この頃に現在の箱根火山の中央火口丘の原型が出来上がったと考えられる。」

「その後、神山では約1万9000年前、7000年前に激しい噴火活動があったことが確認されている。特に7000年前の噴火ではカルデラ北部一帯に火砕流が広がり、一部は外輪山を越えた。また7000年前の噴火によって神山山頂の溶岩ドームが形成されたと考えられる。[48]。
 約5000年前になると、二子山溶岩ドームが噴出し、噴火に伴い発生した火砕流が須雲川流域を現在の箱根湯本付近まで流れ下った。」

「約3100年前、神山北西部で水蒸気爆発の後に大規模な山体崩壊が発生し、岩屑なだれが神山北西部の山麓を厚く覆った。現在でも湖尻から大涌谷にかけての神山北西部には流れ山が見られる。また、岩屑なだれは早川を堰き止め、現在の芦ノ湖が形作られることになった。
 山体崩壊の後の神山には馬蹄型の火口が出来た。約3000年前、その火口内に溶岩ドームである冠ヶ岳が噴出した。この時の噴火で火砕流が発生し、火砕流の一部は泥流となり、早川流域を宮城野付近まで流れ下った。冠ヶ岳の噴出が最も新しい箱根火山の溶岩噴出を伴う活動と考えられている。」

「これまで約3000年前の冠ヶ岳の噴火が、箱根火山の直近の噴火とされてきたが、以前より神山や大涌谷周辺で火山噴火に伴うと考えられるくぼみが複数確認されており、冠ヶ岳の噴火後も水蒸気爆発があったのではないかと言われていた。
 2006年、大涌谷周辺の調査の結果、冠ヶ岳の噴火以降に堆積した、箱根火山のものと考えられるテフラ層が5層確認された。同じ地層に堆積している富士山の火山灰や神津島天上山テフラとの地層の上下関係の確認や、地層に含まれている木片などの放射性炭素年代測定から、5回の噴火は約2800年前、約2000年前、そして12世紀後半から13世紀頃という比較的短期間に、3回の噴火があったものと推定された。
 約2800年前、約2000年前の噴火は、ともにテフラの堆積状況から、神山から北東方面に伸びる尾根付近に噴火口があったものと考えられ、現在も噴火口跡と考えられるくぼみが残っている。ともにマグマ本体の活動は伴わない水蒸気爆発であったと考えられるが、噴火直後には土石流が発生し、2000年前の噴火では、噴火に伴って火砕サージが発生した[61]。
 12世紀後半から13世紀にかけての3回の噴火は、大涌谷周辺が噴火口であったと考えられる。いずれも水蒸気爆発で、大涌谷周辺の半径数百メートルの範囲でテフラが検出されるのみの、小規模な噴火であった。(転載終わり)」

 さて「箱根火山群」の形成史は「富士山」に比べて複雑であるようです。
 風光明媚で高級リゾート・観光地となっている「箱根」も数々の火山噴火により形成されてきたようです。
 約6万5000年前に発生した大噴火では、東京軽石層といわれる軽石が関東南部まで降り積もり、その後に横浜あたりまで火砕流が到達しているようです。
 4万年前以降は比較的静かな火山活動が続いているようです。
 ただし7000年前の噴火では、火砕流が一部外輪山を越えたようです。
 そして約3000年前の神山北西部での水蒸気爆発、冠ヶ岳の噴火が直近の噴火とされてきたようですが、最近の研究により、約2800年前、2000年前、12世紀から13世紀にかけても小規模な噴火があったようです。