今回は、通勤災害についてお話しますが
案外、通勤中のケガ等も労災で請求できると
知らない方が多いので、その点さえ
分かって頂ければいいかと思い、先に進めます。
まずその対象ですが、通勤によるケガ・病気で
病気も含まれます。・・・と言うと通勤で病気?
と思われるでしょうが、通勤と関係ある病気とは
例えば、通勤中に犬に噛まれ狂犬病になったとか
通勤中にタンクローリーが転倒し、有害物質が流失し
それを吸引して、何かの中毒になったとかの場合です。
(但し、通勤との因果関係の証明を請求者が
出来なければならないのが、病気の場合、難しい点です。)
では、通勤って一体?という話に当然なります。
普通であれば使う通勤経路を、普通であれば用いる
交通手段で出社・帰社するルート上というのが原則で
例えば、道路工事中で遠回りをしたとかも
この場合、含まれることになります。
また、2つの仕事をやっていて、1つの就業場所から
次の就業場所への移動経路も通勤になりますし
単身赴任者の場合、単身赴任先からの通勤も
自宅に戻った時に直接、出社するのも通勤に含まれます。
・・・とは言え、実際に労災の場合には、ケースバイケースで
難しい案件の場合には、考えるようになっています。
で、問題は通勤中の話なんです。
例えば、会社からの帰りに通勤に全く関係のない用事で
通勤経路を大きく外れた時の事故はどうなるのか?
と言えば、大方の想像通り、これは私的行為なので
通勤災害とは認められませんし、その用事のあとに
通勤経路に戻る途中での事故もダメです。
でも、例外がありまして、通勤経路を離れても
日用品等を購入するために通勤経路を離れたり
病院を受診するために通勤経路を離れた場合には
そのショッピングや受診中のケガは別ですが
その後に通勤経路に戻り、その時にケガしても
それは通勤の範囲内とみなしますよ
という扱いをされています。
最後にもう1つ、覚えておいてもらいたいこと。
よく事業主が通勤経路を会社に届け出た
そのルートで通っていなければ労災にはならない!
という事がありますが、あれは間違いです。
そのルートが妥当であると判断されれば
通勤災害とみなされ、労災で十分カバー出来ます。
熊本の社会保険労務士
松永社会保険労務士事務所