週に1回の各法律の概略的な説明ですが

前回までで労働基準法を終り、

労働者災害補償保険法(労災法)に移ります。


労災法ですが、労基法でお話した通り

使用者が仕事中にケガをした場合には

使用者側に過失がなくとも、責任を負う

災害補償制度については本来労基法で

定めてありますが・・・


労基法で定める災害補償を、国が労災に

事業所が強制加入するようにして

事業所の代わりに、労働者の災害補償を行なう

というのが労災法の役割であり

単に労基法だけで災害補償を定めるだけであれば

事業主が補償しなかったり、しても補償が十分で

なかったり、補償が遅れると被災した

労働者の保護に欠けるために作られた法律です。


当初は業務災害のみを扱っていましたが

長距離通勤の増加という背景もあって

昭和48年に通勤中のケガ・病気も

労災で面倒みるようになりました。


そのために、厳密に言えば労基法での災害補償は

通勤を含まないために、その補償範囲は異なります。


健康保険の方が、業務外での病気・ケガに対する

保険給付を行なうのに対し、労災の方では

業務上・通勤での病気・ケガが保険給付の対象なので

同一の傷病に対し、同時に健康保険側と労災側から

保険給付を受けることはありません。

両者はコインの裏と表の関係ですので、仮に

労災で請求していたものが認められなかった場合

最初は労災で医療機関での受診を処理しておき

後にさかのぼって健康保険扱いになります。


両者の保険給付の代表的なものは

医療機関でいわゆる、保険が使える

自分で100%医療費を負担しなくてもいい

というものですが、健康保険と労災では

その保険給付の対象も少しだけ違います。


労災では、障害に対する保険給付はあるのに

健康保険には障害に対する保険給付はありません。

健康保険の考え方は、基本的には短期間での

保険給付とされているためです。

そのため、業務外での障害等の長期にわたる

補償が必要な場合には、健康保険制度から

(障害)年金制度で補完している形です。


逆に健康保険にあって、労災にない保険給付の

対象があります。出産についての保険給付です。

そのため、仕事中の流産等については

原則として、健康保険で保険給付が行われます。


このように、法律は各々の守備範囲をもっています。

俗にいう、セーフティーネットと言ってもいいでしょう。


でも、せっかくの制度ですが、制度自体を

知らなければ全く利用の使用がありませんので

その概要をご紹介するというのが

本シリーズの趣旨になります。


次回より、労災の中身について入っていきましょう。