週に1回の労働基準法のお話です。
今回は、災害補償について。
労働基準法に災害補償の規定があります。
これは使用者側に業務上生じた事故や病気に
対しては責任を持つべし、という使用者責任を
定めたものであり、安全配慮義務からきています。
ここでのポイントは、使用者の災害補償の責任は
使用者側の過失の有無にかかわらず
使用者側にあるということです。
例えば、事業所内の階段の昇降時に従業員が
考え事をしていたら、踏み外してケガをした場合
使用者側に過失がない筈ですが、業務上
仕事を行っている途中でのケガ等は災害補償の
対象になります。
ココまで読まれた方は、労災があるじゃないか?
と思われた筈です。そうなのです。
実はこの労基法で定める災害補償は労災により
カバーされているので、ココでの規定は実質的には
労災法で災害補償がなされています。
では何故? 労災でカバーするのか? ですが
結局、労基法に規定をしていても使用者側が
必要な災害補償を行わない場合には、単なる
労基法のこの規定に違反するに過ぎず
それでは労働者を保護することになりませんし
補償を行なうにしても、規定された補償をすぐに
事業所の経営上の理由で出来ない場合や
災害補償を使用者側が行わない場合には
労働者に迅速で、適切な災害補償がなされないため
国が労災法という法律で、労災制度を作り
事業所に対して強制加入(一部、任意加入)させて
労災法により、労働者は守られるようにしてあります。
労災法の施行は、労基法と同日なので
その関係も当初から意図されたものと分かります。
但し、労基法での災害補償と労災法での補償は
全く同じではありません。労基法には業務上の
ケガ・病気しか災害補償の対象にされておらず、
労災法のように通勤を対象にはしていません。
これは労基法自体の定めには、通勤という考えが
含まれていないためです。・・・とは言っても
労災法の補償内容に通勤が含まれるようになったのは
随分あとのことであり、当初は労災法でも労基法同様、
業務上のケガ・病気しか、災害補償の対象には
されていませんでした。
次回は、就業規則についてのお話です。