先日の飲み会のこと。
鴨川に程近いビルの7階にその店はあった。このビルに入っている喫茶店に昔よく行ったが、最近はとんと足を踏み入れたことがなく、考えてみたら、3年ぶりくらいで、そんな店ができていたこともしらなかった。
前回の飲み会では、会場に到着したらすでに皆そろっていて、材料(豚の三枚肉、少量の野菜)の真ん前、トングとはさみの置かれた場所がわたしの席であった。というわけで、食べられもしない肉の面倒を一手に引き受けたわたしは、肉を焼き、はさみで切り分け、つけあわせの焼き野菜とキムチとナムルを食べながら、ビールばかり飲んで酔っ払うはめに。それでこの会をひそかに「サムギョプサル地獄」と名づけたのだが、そんなことはまあいい。その惨状を見ていた幹事様がわたしを哀れみ給うて、今回の店をセッティングしてくださったのであった。「お造りとかもあるんですよ~。50種類の料理、食べ放題ですから!」と。
エレベーターを降りてすぐがその店だったのだが、店の看板が、プリンタで印刷したA4の紙をラミネート加工したもの一枚だったので、一抹の不安を覚える。入店、個室に通される。
まずは店員の前口上。「ビールは発泡酒を使用しております」・・・・・・って、発泡酒はビールちゃうやろ。ひとり500円加算すれば「ビール」にしてくれるとか。ビールを飲むのはわたしともう一人だけなんだけど、その人も「ビールがいい」というので、皆に泣いてもらうことにした。
店員の口上は続く。まず、サムギョプサル(なんだと?!)、とりから揚げ、とり胸肉と豆腐のサラダ、枝豆、これらを召し上がっていただいてから、食べ放題メニューをご注文いただけます、ですと? ええと、ここでわたしの食べられるものって、枝豆? だけ? ですか? ですよね?
ああまたしてもサムギョプサル地獄。しかもまえより条件は厳しい。今回、座った席が入り口に一番近いところだったため、運ばれてきた肉はわたしの目の前に置かれた。必然的に焼肉係はわたし。まあいい。どうせ枝豆しか食べるものがないのだから、皆には食べることに専念させてやろう。肉に付属しているのは、半割りにしたにんにくと青唐辛子、薄切りじゃがいも(コレがあってよかった)。あとは包むための葉っぱと薬味のねぎとタレ。タレといっても見たところただのコチュジャンである。塩とごま油くらい用意してやってほしい。ビール仲間は辛いものがまったくダメだからなあ。とか思っていたら、惨劇が。辛いものがまったくダメなビール仲間が、青唐辛子をオクラと間違えてひと口で! 呼べ、店員を早く! ビール頼め!
ところでこの店、注文をタッチパネル式のなんかそういうやつ(呼び名を考える気力なし)でするのだが、店員を呼ぶときもソレで呼ぶ。画面に「ご注文内容: 店員 1名」と表示されるのが妙におかしい。
しかし食べ放題前メニューがかなりボリュームありで、この先思う様食べ放題できるのであろうか。わたしはまあ枝豆とキムチ(まずし!)でビールばっかり飲んでいるので、「せいでか!」なのだが。しかし皆さんの食欲もなかなかのもので、前メニュー完食していただき、魅惑の食べ放題メニューへ。で、先ほどの注文パッドでメニューを見るのだが・・・・・・ないですよ、お造り。ありませんね、何度見ても。そして、料理はどうみても50種類あるようには見えない。
「コレ、なんか隠しコマンドとかあるんかね?」
「そこ、2回押してみるとかですかねえ」
「長押しとか」
「んなわけないわな」
「客が注文できんメニューにする意味ないやろ。食材無駄になるっちゅうねん」
わーわーいうておりましたが、「隠しコマンド」はなし(当たり前だ)。店舗紹介では「お造り」ほか50品食べ放題で、魚介メニュー豊富な感じだったのだが。発見できた魚介メニューは「海鮮塩焼きそば」。ええ、ソレのみです。
しかたない、頼みました。そして出てきたそいつの具は、えびと豚肉、そう豚肉です、それに紅しょうがとねぎ。それをしも「海鮮」と言い張りますか?
ほかにわたしが食べられそうなものは、キムチ豆腐(キムチがまずいのはわかっているので、却下)、ねぎチヂミ、ポテトフライ、きゅうりスティック、以上。ポテトフライとねぎチヂミを頼んでみた。
ポテトフライがまず来た。ケチャップが添えられている。見るからに冷食。しかし、ならばハズレはあるまい。思った通り、可もなく不可もない。続いてねぎチヂミ。これは・・・・・・チヂミか?幹事様、いかがでしょう?
「なんかぐちゃっとしてる~。こんなんチヂミちゃう~(怒)」
他の人も、ひと口食べて苦笑い。「火通ってへんのとちゃうか?」というご意見まで出る始末。
もう安心して食べられるメニューはポテトフライだけ、ということでそれをもうひとつ頼む。というかわたしが食べられるものはそれしかないし。はたして登場したいもは一回目に頼んだものと外観が違う。さっきのは揚げたいもだけだったが、今回のはいもにパセリ(乾燥)がかかっていた。毎回少しずつグレードアップするのだろうか。客を飽きさせない工夫か。そんな三杯の茶の温度を変えて出した石田三成のような工夫をする店とは思えんので、一回目は単に忘れていた、もしくは「店主(いや、たぶんバイト)のきまぐれ料理」と冷静に判断。
「あ、WIMPさん、わかめスープ頼みましょうか?」っていってくれた人がいたけど、すでに酔っ払いのわたしは「わかめすーぷー? ああ、ありがとー。あーでもソレぜったい『○研』やで!」と言い放つ。はたして出てきたものは、ゆでもやし入りのインスタント風味であった。もっとも「理○」かどうかは、判別するのも覚束ない酔っ払いであったが。
カルピスウォーターを頼んだ幹事様が、「うわ」というのでなにごとかと思ったら、「コレ味ない!飲んでみます?」で、みんなひと口ずつ。うっという者、笑い出すもの、反応はイロイロ。わたしは思わず「これ米のとぎ汁かなんかちゃうか?」という言葉が口をついて出た。・・・・・・ん?「いや、ちょっと待て・・・・・・コレは」とライトに透かして見たら、上のほうと下のほうで光の透過率があきらかに違う。「なんかレイヤーになっとりますが」と持ち主に返す。「ホラ」「あーーーーー!なにこれーーーー!!」
混ぜずに出すか、カルピスウォーター。
「信じられへん・・・・・・」といいつつ、マドラーもないので、さんざんサムギョプサルやらから揚げやらを食べた後の箸をお手拭きでぬぐい、かき混ぜて、ひと口。「濃いーーーー!」
うん、みんなで上澄み部分飲んだからねえ。これは飲めない、ともう一杯頼んだが、やはり混ぜてなかったので、「オイシイやんけ!」「ライトをバックに写メしとけ!」「つぶやいたれつぶやいたれ!」と皆でたきつける。関西人は困ったものである。
メニューは基本冷食、冷食以外のメニューは笑うしかない味(オリジナルらしいナントカぎょうざ、とりもも串など、わたしは食べられないが、食べた者は笑っていた)で、デザートの「京風」(京都で「京風」って?)抹茶アイスは、メニューの写真では白玉が添付されているが、実際に出されたものには付いてなかった。さらにいえば、「ラストオーダーはひとり一品、しかもその一品にはデザートも含む」ってルールの店、はじめてだ。あまりのことに、幹事様が「もうわたしは二度と店を選びません」とポツリというので、「まあ、さっきの二段式カルピスウォーターの写真も撮ったし、ネタできてよかったやん」と慰めてるのかなんなのかわからんことをいってしまったが、「そうですね。あれと、今日、人生はじまって以来冷食を腹いっぱい食べた、てつぶやいときますわ」と、転んでも、決して決してただでは起きるわけもない京女っぷりをみせてくれた。
さて、ラストオーダーの「京風」抹茶アイス(白玉欠品)も食べつくしたころ、ふと幹事様(♀)がなにかに気づいたようにあたりを見回して、「この店、なんか間取りおかしいんですよねえ。なんだろう・・・・・・あっ、あのー、ここってー、ひょっとしてー、
もと和風ヘル(以下W倫により規制)」(一同爆笑)
「あー、敷き布団が重(同規制)」 (一同爆笑)
「そんで赤の長襦袢着(同規制)」 (一同爆笑)
「いらっしゃいま(同規制)」 (一同爆笑)
いま思い返したらそこまで爆笑するほどオモロイことではないが、そのときは皆異様なほど笑っていた。要するに全員酔っ払いなので、勘弁してやってください。 ん? 幹事様はこの後運転するからと、一切酒を飲んでいなかったような気が。
もう、この後は全員好き勝手なこと(主にここでは書けないようなこと)をいい合い、高笑いでその店を後にした。最終的にみんな笑えてよかった。
が、たぶん次回はない。というかまあ店自体が(以下自粛)