今日、とある友人から、お願いしていたカレー用のスパイスが届いた。



彼女はコロナを機に、身近にあるいろんな特産品の詰め合わせを送る事業を手掛けるようになっていた。その一つがスパイスカレーだった。

スパイスと、カレーの材料に使う新玉ねぎとのセット。
さらには玉ねぎの農家さんや、玉ねぎが育った風土に対する彼女の愛情がぱんぱんに詰まったパンフレットまで付いていた。


彼女がインスタライブでこのスパイスカレーの作り方について配信しているとき、私は突然の祖父の訃報に泣き尽くしていた。

そのスパイスカレーセットは通夜の前日に届き、当然だかやむを得ず、しばらく放置されていた。


1週間が過ぎたころ、ふとこのセットが届いていたことを思い出した私。

祖父の急逝以降、近くのお店でテイクアウトしたお弁当を食べ続けたあとの、初めての日曜日。
このカレーを作ってみようと思い立ち、初のスパイスカレーを作り始めた。


作り進めるにつれ、新玉ねぎがどんどん形を崩していく。スパイスのたまらない香りが開け放したキッチンから家じゅうに広がっていく。


それは、「日常の香り」だった。


お弁当にはなかった香り。
いや、お弁当は当然おいしかった。
でも室内に香りを振りまくのはお弁当の役割ではなかったし、代わりに充満していたお線香の香りは明らかに非日常を感じさせるものだった。


そんなスパイスカレーはかつてなくおいしいカレーになった。
それはレシピがいいからということは言うまでもない。だが、私たちにとってそれは、足元から崩れ落ちるような悲しみから、まるで目が覚めたかのように日常に引き戻してくれた料理でもあった。



2回目に作るスパイスカレーは、どんな味になるんだろう。

日常の中で穏やかに作るカレーは、きっとマイルドなものになるんだろう。


作れる日が、楽しみだ。