二つの腕で抱えられるもの自分が抱えられるものって、思ったよりもずっと少なくて。腕の中から、大切なものがどんどん零れ落ちてゆく。何でもできると思っていた、未来がとても輝かしく思えたあの子供の頃の高揚感が懐かしい。生きていくうちに大事なものが増えてきて、全てを抱えて生きていこうとしてやっぱりこの腕だけではだめで。大事なものが擦り抜けて、守るために何かを捨てるという矛盾した局面に陥る。捨てられなかった私は最後に自分を捨てるしかないことに気づかされる。