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渋谷宙希のブログ

音楽、映画、写真、本。趣味のブログです。

 

「昔、火星のあった場所」北野勇作

★★★★★

 

 

 

中学生の頃に初めて読んで、全然意味がわからなかったんですけど面白かった小説です。

 

 

大人になってからもう一回読んだんですけど、やっぱり意味わかんなくて、今回久しぶりに読み返してちょっとだけ意味わかりました。

 

 

この小説は第四回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品で、作家北野勇作のデビュー作でもあります。

 

 

この小説の存在を知ったのは、当時聞いていたラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」でこの作品を取り扱っていたからです。

 

 

なので、最初はラジオドラマとして聞いて

 

 

「なんか、凄い面白いなこれ」

 

 

と思い原作の小説を買いました。

 

 

当時、中学生だった自分はラジオドラマは面白かったけど、意味がよくわからなかったんで、原作読んでみたんですけど、ますます意味わかんなくなってしまったというわけです。

 

 

で、いつものようにあらすじを書きたいんですけど、この物語は何と言いますか、記憶の断片をたどっていくような不思議な構成になっていて

 

 

こういう物語です。

 

 

というのを形にすることが難しいんですね。

 

 

凄くおおざっぱに言えば、ある会社に就職した主人公”僕”の最初の仕事が鬼退治でした。

 

 

鬼は、会社から脱落した落伍者だった。

 

 

鬼を退治した僕だったが、一緒に行動していた会社の先輩がタヌキだったため会社をクビになる。

 

 

僕にもタヌキの疑いがかかったからだ。

 

 

「人間とタヌキとの戦いによって、この世界は成立している」

 

 

という。

 

 

そして、この世界には火星を巡って2つの会社が対立している。

 

 

その火星は昔ある出来事によって消滅してしまった。

 

 

そんな火星を巡る物語です。

 

 

自分で書いてても全然意味わかんないです。

 

 

とにかく不思議な物語なんです。

 

 

今改めて読んで感じたのは、

 

 

「この作者きっと映画好きだな」

 

 

ってこと、まずタルコフスキーの「ストーカー」という映画がちょっとこの小説世界に似た印象があります。

 

 

これは初めて「ストーカー」を観た時に感じたことなんですけど、小説の中に登場する”カチカチ山駅跡地”って場所は、僕の住んでいる世界とは時間の流れが違っていたり、物理法則が当てはまらなかったりします。この感じは「ストーカー」のゾーンに似た感じがしますよね。

 

 

地続きの異界

 

 

それが、どうやらこの物語の中では”門”と呼ばれる装置によって引き起こされているようです。

 

 

この”門”というのが、物語の重要なアイテムらしいんです。

 

 

この”門”は人間の意識とリンクして時空を操る?みたいな装置らしいんですけど、この装置のせいで時空がねじ曲がってしまって火星も消滅したし、おかしな世界ができてしまったようなんですね。

 

 

もう一つ似てる映画が「2001年宇宙の旅」です。

 

 

これは、物語の中に小春という人工知能が出てくるんですけど、これの元になったのは”HAL9000”で、これは「2001年宇宙の旅」に登場る人工知能です。

 

 

どちらの映画も原作は小説なんで、原作の小説が好きなのかもしれませんが。

 

 

この小説を中学の時に読んで面白いと感じてしまったため、

 

 

物語の意味をちゃんと理解できなくても面白い物語ってあるんだな

 

 

って思いました。

 

 

この小説は本当に意味を全て理解するのはかなり難しいと思うんですけど、正直そんなのはどうでもいいかな、って思ってしまいます。

 

 

意味わかんなくても、面白いって感じることができるんだから。

 

 

意味がわかったらもっと面白いのかもしれませんが、意味がわからないままの方がなんとなく夢が膨らみます。

 

 

SFとしても面白いし、主人公を始めとしたキャラクターたちがどこかのほほんとしていて、彼らの会話を見ているだけでも楽しいし、登場するタヌキは可愛いし、個人的にお気に入りのキャラは時計屋なんですけど、彼は人間の音を聞くといろいろわかるんです。

 

 

この時計屋のキャラはいつか何かでパクりたいな、ってずっと思ってますw

 

 

大人になって読み返して理解できるようになっていたポイントとしては、物理学の知識が当時より少しは多くなっていたことがあるかもしれません。

 

 

量子力学の基礎知識や、不確定性原理のごくおおざっぱな知識は中学生のころよりはあるので、その辺も面白く読めました。

 

 

結構本格的なSFのはずなんですけど、どこかのほほんとした空気が常に漂っていて、おとぎ話の世界観とも繋げていくことで親しみやすさなんかも出ていて、凄く読みやすいです。

 

 

ちなみに、この小説のことをTwitterで呟いたら、作者の北野勇作さんからリプを頂きました。

 

 

で、タルコフスキーの「ストーカー」にちょっと似てると思った。みたいなことを返したら、やはり北野さんは凄く「ストーカー」が好きだっておっしゃってました。

 

 

原作の小説もおすすめされましたが、もちろん原作も大好きです。と答えておきました。

 

 

今の時代って結構簡単に作者さんと繋がれて凄いなって思います。

 

 

実は、北野勇作さんの小説はこの次にでた「クラゲの海に浮かぶ船」までしか読んでいなくて、それ以降の本は読んだことがないので、この機会に最近の小説も読んでみたいな、と思いました。

 

 

気になった方はぜひとも読んでみてください。

 

 

今は絶版になっていて、なかなか手に入りにくいかもしれませんが、Amazonなんかで比較的安い値段で売ってますし、図書館なんかでも借りることができると思いますので。

 

 

おすすめの1冊です。

 

 

 


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