「空の都の神々は」
N・K・ジェミシン
★★★☆☆
アメリカの女性作家N・K・ジェミシンのデビュー作。
日本の漫画やアニメに影響を受けて書かれたファンタジー小説って話を聞いて読んでみたんですが、
ん~、ちょっと微妙
ってのが正直な感想です。
世界観や設定なんかは凄く面白そうな雰囲気が漂っているんですけど、物語の内容自体がどーにも微妙。
昔、神々の戦いってのがあって光の神イテンパスと闇の神ナハド、黄昏の女神エネファが戦い、イテンパスが勝利。そこ結果ナハドとその子神はイテンパスの神官であったアラメリ家の奴隷になります。そして、馬上エネファは死亡。
アラメリは神々の力を使い空中都市スカイから世界を支配する。
ある日、辺境の小国の首長であるイェイナはアラメリの世継ぎ候補としてスカイに召喚される。
イェイナの母はアラメリの姫だったが、イェイナの父と駆け落ちした過去があった。
スカイでの後継者争に巻き込まれたイェイナはやがて母親の過去、さらに自身の秘密に迫っていく。
みたいな内容です。
なんか、面白そうですよね?
でも、どーにも微妙なんです。
神様がいっぱい出てくるんですけど、その神々は人間の一族の奴隷となっていて、その力を兵器として使われています。
その辺の設定は凄く面白いし、田舎の小国からやってきた主人公イェイナが継承者の争いに巻き込まれていく設定も面白くなりそうな感じが凄くするのに、なんか最初から最後まで期待が膨らむだけで、膨らんだ期待を爆発させてくれる部分がなかったなぁ、という印象。
まず、神々の戦いの原因もイテンパスとナハドの痴話げんかっぽい感じだし、最後の方はなんかファンタジーなんだけど、結局は恋愛のもつれというか、わりと人間みたいな感じの神々のいざこざって感じになっていってしまい、なんか
あぁ、もったいない!
って思ってしまいまし。
この小説の作者はジェンダー問題に凄く取り組んでいる作家さんのようで、この小説もジェンダー論的なものや、差別問題的なものが含まれているような気がしました。
エンターテイメント小説の中でこのような問題を扱うのってかなり難しいんじゃないかな、って印象があります。
下手すると説教臭くなってしまうからです。
エンタメでもっともやっちゃいけないのが説教だと思っているので、この説教臭さが漂う展開はちょっと厳しかったですね。
逆にその辺が評価の対象になる場合もあるんでしょうけど、やはり人間というのは説教されたくないもんですよ。
メッセージを込めるのは全然いいと思うんですけど、そのメッセージをいかに説教臭くなく伝えるか、というのが作家の力量なのかな?て思ったりしてしまいました。
世界観と設定とちょこちょこキャラクターが立ってる感じもあったんで凄く惜しい小説でした。
ちなみに、この小説は三部作の一作目だそうです。
続きを読むかどうかはかなり微妙です。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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