「不時着する流星たち」小川洋子
★★★★★
前から好きな作家さんである小川洋子さんの最新刊です。
以前から凄く好きな作家さんなんですけど、ここ最近の作品に関しては今まで以上に好きです。
「ことり」くらいから本当に凄いことになっているなぁ、という印象を受けます。
現時点での長編最新作である「琥珀のまたたき」は個人的には小川洋子さんの最高傑作ではないかな、と思います。
今まで以上に期待も上がった状態で読んだ今回の小説も
やっぱり最高でした!!!
もう、小川洋子さんの描く世界が好き過ぎます。
今回の作品は実在の人物や、出来事からインスピレーションを受けて描かれた短編小説を集めた短編集で、全ての物語の最後にはその人物や出来事が紹介されています。
実在の人物や、実際の出来事を題材にしているのに、その作品も凄く幻想的で凄く想像力を刺激されます。
物語は10話入っています。
第一話「誘拐の女王」
第二話「散歩同盟会長への手紙」
第三話「カタツムリの結婚式」
第四話「臨時実験補助員」
第五話「測量」
第六話「手違い」
第七話「肉詰めピーマンとマットレス」
第八話「若草クラブ」
第九話「さあ、いい子だ、おいで」
第十話「十三人きょうだい」
タイトルだけでも魅力的だと思いませんか?
個人的には第一話の「誘拐の女王」がかなり好きです。
血が繋がっていない、十七歳も歳が離れた姉がいた幼い頃の主人公は
誘拐
という言葉を姉から教わる。
「ゆう、かい」
と意味ありげな目つきで、そう言った姉の言葉を聞いた主人公は
これは気安く話題にしてはならない言葉なのだ
と感じた。
「いいこと。他の誰にも内緒」
そう姉に言われた主人公は自分だけが特別に選ばれたような誇らしいよう気分になると同時に、何か予期しないことが起こりそうで恐ろしくもあった。
姉は仕事もせず、一日中家にいた。
そして、姉は裁縫箱を肌身離さず持ち歩く。
裁縫箱の中にはいろいろなものが入り混じっている。
磁石
口紅
丸薬
マッチ棒
栞
小石
紙の束
分度器
ペン先
勲章
コースター
毛鉤
ネッカチーフ
犬の置物・・・・・・
姉は話す。
「ここにあるものは全部・・・・・誘拐された時、ピンチを救ってくれたものたちよ」
といった内容です。
姉の誘拐にまつわる冒険譚と、ピンチを救ってくれた様々なアイテム。
この物語のインスピレーションの元になったのは
ヘンリー・ダーガー
誰に見せるわけでもなく、たった一人で60年間も「非現実の王国で」という小説を書き続けていた人物。
ヘンリーが死亡する直前にアパートの大家によって作品が発表され、今では世界一長い小説と言われている。
このエピソード自体が凄く面白くて、興味深かったです。
ヘンリーの描いた「非現実の王国で」は子供を奴隷にする軍事国家を相手に7人姉妹のヴィヴィアン・ガールズが活躍するという物語で、なんとヘンリーは小説を書いていただけではなく、挿絵も自ら描いていました。
300枚を超える挿絵の中には巻物のような長い作品もあったと言います。
掃除夫だったヘンリーは、ゴミの中から拾った雑誌や広告などを切り抜き作品に他用したようです。
上の作品も少女たちの感じが雑誌から切り抜いたのかな?って感じがしますね。
ヘンリーが描く少女たちの特徴として、
少女なのに男性器描かれている
ことです。
なぜ少女に男性器が描かれているのか?
これに関しては様々な説があるようですが、一般的に言われているのは
生涯孤独だったヘンリーは女性の体を見たことがなかったのでは?
というもの。
いやー、興味深い人物です。
まさに、アーティストですよね。
って、めっちゃ話が逸れてしまいました。いずれ、ヘンリー・ダーガーだけの記事を書きたいです。
小川洋子さんの小説の感想に戻ります。
他にも、
エリザベス・テイラー
からインスピレーションを得た
「若草クラブ」
や
放置手紙調査法
という
社会実験からインスピレーションを得た
「臨時実験補助員」
などがお気に入りです。
小川洋子さんの作品は共通して言えることなんですが、全ての物語に凄く鮮明な情景が思い浮かぶことです。
これは、小川さんが一行一行丹念に紡ぎだしている文章のチカラなんだろうと思います。
今回読んだ小説には登場人物にはほとんど名前がありません。
幻想と現実の境界線にあるような物語ばかりなので、名前がないのがなんだかすごくしっくりきます。
名前が付くとやはり現実感が出てしまうような気がしてしまうし、その人物を作者が創作sひているという感覚が残ってしまうので。
小川洋子さんの小説は、人物の魅力だけではなく、動物や植物にも物語があるのが凄くいいです。
全ての人に物語があるように、全ての動物や植物や物にも物語があるのだなぁ、と感じます。
そして、この世界はそんな物語の数々で成り立っているんだなぁ、って思うんですよね。
気になった方はぜひ読んでみてください。
装丁も凄く美しい本なので、その辺もおすすめポイントです。
小川洋子さんの小説を読んだことないという方にも、この本は凄くお勧めです。
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