読書「ヰタ・セクスアリス」森鴎外 | 渋谷宙希のブログ

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「ヰタ・セクスアリス」森鴎外
★★★★☆




1909年に発表された森鴎外の小説で、タイトルの「ヰタ・セクスアリス」は性欲的生活を意味するラテン語だそうです。


当時は卑猥な小説だということで、発禁処分を受けたようなんですけど、読んでみると全くもって卑猥な表現や描写はなく、ただただ青春小説でした。



この小説は主人公の金井湛(かないしずか)とうい哲学の先生が自らの人生の性欲について振り返るというもので、6歳から21歳までの自身の性生活について語ってるのです。


この金井という男がなかなかの変わり者で、物を見る目だとか、考え方だとかが面白いんですよ。


小説をたくさん読むんですけど、小説の物語自体を面白いと思って読む読むことはなくて、作者の心理状態を読み取るのが楽しくて読んでいるような人です。


なので、学者なのに一冊も本を書いたことがない。


自分でめちゃくちゃにハードルを上げてしまっているので書けないんです。


そこで、自らの性欲の遍歴を書いてみようかな、って思いつくんです。


でも、これは発表してもいいものかどうか?って迷います。


とりあえずは自分の息子に読ませてみて、その反応を見てから決めたらいいや。


みたいなノリで書き始めます。


6歳の少年時代から回想は始まるんですけど、個人的にはこの少年時代のエピソードが凄く面白かったです


近所に住んでいるおばさんとその娘がなにやら二人して読んでいる本がある。


その本が何だか気になった金井少年は二人が読んでいる本を覗き込むと人物の姿勢が非常に複雑になっている絵が描かれている。


おばさんは絵のある部分を指さして


「あんたこれを何と思いなさるかの」


と聞かれ


「足じゃろうがの」


と答えると、二人に笑われる。


というエピソードは、少年時代に経験する何やら性的なものがそこには記されているらしいが、まだ理解できない。というなんともノスタルジックな記憶が蘇るようなエピソードです。


おそらく、この時に二人が見ていたのは春画的なものだったんじゃないかと思います。


春画って何がおもしろいって、いまの漫画みたいにめちゃくちゃデフォルメしてるんですよね。


足に見えるわなぁ。。。。


金井少年が10歳になったときに偶然見つけた綺麗な本の中に男と女が異様な姿勢をしている絵を見つけ


おばさんのうちで見た本と同じ種類の本だ


と思い出すシーンがあるんですけど、4年経っていてもなんだか異様な感じのしたあの本のことは覚えていて、鮮明に思いだすんですよね。


これが、性なものに違いないと、この時が思うんですけど、まだこういう振る舞いが人間の欲望と関係しているとはまだ知らなかった時期です。


で、この頃


肉蒲団という、支那人が書いた、けしからん猥褻な本があったらしく、その本の主人公が人の小便するのを覗き歩くと書いてあったので、金井少年も道端て小便するのを覗いて見ていたそう。


なんか気持ちわからんでもないんですけど、金井少年の凄いところは


女の体の或る部分を見たことが無い。


と思うところです。


道端で小便をしている女はいないので、覗けないんですね。


そこで、なんとか見る方法はないもんか?と悩んでついにある作戦を決行します。


近所に住んでいる年の近い純朴な少女遊びに誘い、


「あの縁から飛んで遊ぼう」


と提案、草履を脱いで縁に上がると、少女も赤い緒の雪駄を脱いで上がる。


そして、金井少年は尻をまくって


「こうして飛ばんと、着物が邪魔になっていけん」


と言い飛び降りる。


そしてし、少女に


「さあ。あんたも飛びんされえ」


と声をかけると、少し困った顔をした少女だったが無邪気な素直な子だったので、とうとう尻をまくって飛んだ。


この時少年は目を円くして覗いたが、少年は失望する。


白い脚が二本白い腹に続いていて、なんにも無かった


からである。


とんでもない作戦なだけど、まんまと女の股を覗くことに成功したのですね。


なんか、双方が無邪気な感じでほほえましいです。


学生時代のエピソードで凄く興味深かったのは、


「軟派」と「硬派」


という存在です。


「軟派」というのはまぁ女性が好きな男子学生です。


で、「硬派」というのがですね、少年が好きな男子学生なんですね。


こんな派閥が二分するほど、この頃はいわいる男色というものがメジャーだったんですね。


凄く驚きました。


今、あまり大っぴらにできないのは、西洋の考え方が入ってきたからなんでしょうか?キリスト教的には絶対にNGですよね。


この頃の日本は性に対してからに自由な感じだったんだなぁ、と思いました。


自由とはいえ、主人公はある少年から気に入られていて、ビビッて逃げるというエピソードもあります。


金井少年はあまり美少年には興味がなかったようです。


父親からも


「そういう奴がいるから、気を付けなければいかん」


と言われたりします。


軟派の学生は春本を愛読していたようですが、硬派の学生は美少年が書かれた本を愛読していたとか。


いやー、面白いですね。


今でいうところのBLですよね。


森鴎外の時代でもすでに今とまったく風俗が違うので、その辺を読むだけでもかなり面白かったです。


気になってたんだけどタイトルからして、結構エグイ感じなのかな?と思って避けてるって人はぜひとも読んでいただきたいです。


拍子抜けするほどただの青春小説ですから。


個人的にはとても面白かったです。


気になった方はぜひ読んでみてください。




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