「痴人の愛」
★★☆☆☆
【公開】1967年
【製作国】日本
【上映時間】92分
【監督】増村保造
谷崎潤一郎による同名の小説の映画化。
この1967年の映画ですでに3度目の映画化だそうです。この後も何度も映画化されているいます。
この小説を映画にしたいって気持ちわからなくもないです。
上手いこと映像化できれば凄くいい映画になりそうな感じがするんですけど、なかなか上手くいかないもんです。
今回初めて「痴人の愛」の映画を観たんですけど、やはりちょっと微妙でした。
基本的には原作と同じストーリーなのに、なぜか原作ほど面白くない。
映画化って難しいですね・・・・
河合譲治は工場勤めの31歳。
酒もタバコもギャンブルもやらない真面目な男だが、実は家で1人の18歳の少女を養っていた。
少女の名はナオミ。
譲治はナオミの両親の了承も得て一緒に暮らしていた。
ナオミが可愛くて仕方がない譲治は美しく賢い女性に育てようとしている。
長い期間肉体関係がなかった2人だったが、ついに関係を持つ。
そこで譲治はナオミと結婚するため、両親の承諾を得る。
しかし、ナオミはわがままで贅沢な娘で、ボーナスも貯金使い果たしてしまう譲治。
ある日、ナオミはイタリア語教室の仲間の浜田を連れ込む。
ナオミは浜田を友達だと言い張り、イタリア語の先生のところで行われるパーティーに誘い出す。
そこには、倉石という男もいて、その夜は浜田、倉石、譲治、そしてナオミの4人で寝ることに。
男たちとナオミの関係が気になって仕方がない譲治は、ナオミの行動を監視。
すると、倉石と密会をしているナオミを目撃してしまう。
ナオミを追い出した譲治だったが、いつまでたってもナオミを忘れることができず・・・・・
といった内容です。
基本的なプロットは原作に忠実なんですけど、譲治とナオミの年齢が比較的高めに設定されています。
登場した時点で31歳と19歳という年齢なので、この年齢だけ見ればそれほど凄く年の離れたカップルには見えないですね。
原作では出会った頃は28歳と15歳だったので、凄く離れてる感じがします。
年齢を高く設定したからか、ナオミを演じる女優さんがかなり大人っぽい女性なんです。
小説のイメージでは、少女という感じなので小説のイメージとはずいぶん違うなぁと思ってしまいました。
そして、なんといっても譲治さんですよ。
映画では31歳とい設定で登場しますが、どう見ても31歳には見えません。
45歳くらいにしか見えない!
これで、凄く年の離れた感じをだしているのでしょうか??
おもしろいのが、ナオミを好きになってしまう大学生浜田を田村正和が演じているってところでした。
今とあまり印象が変わっていなのがマジで凄いと思いました。
昔かっこよかった俳優さんでも年を取ると見る影もないってのが一般的なんですけど、この人はいくつになってもかっこいい印象ですよね。凄い。
浜田はナオミがむちゃくちゃな女だって知りつつも、ナオミを愛している純粋な青年です。
譲治さんに
「ナオミを捨てないでやってください!」
とか言っちゃうんですよね。
譲治さんは譲治さんで、やっぱりナオミに未練たらたらなんで、帰ってきてくれたときは怒った顔をしつつも、ニヤケてるのがわかって可愛い。
DVDのジャケットに使われているお馬さんごっこのシーンなんですが、このシーンは名場面なんですけど、何度も出てくるのがちょっともったいないな、と感じました。
この馬のシーンは絶対にラストまで取っておくべきだっと思います。
怒ってナオミを追い出したはずの譲治さんが、最終的にはナオミを背中に乗せて「ヒヒ~ン」って言ってるからおもしろいんですよ。
馬になりながらナオミに
「私が誰と付き合おうと文句は言わないか!」
「私のためならいくらでもお金をつかうか!」
と言われ
「はい!」
って答えて終わるという凄くハッピーな終わり方なのがいいんですよね。
要するにドMの譲治さんと、ドSのナオミというカップルなので、こんなハッピーエンドはないんだと思います。
気になった方はまずが原作の小説を読んでから映画を観るのがいいと思います。
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