「インストール」綿谷りさ
★★★☆☆
2001年に刊行された綿谷りさの中編小説。
綿谷りさはこの作品で第38回文藝賞を受賞。
当時17歳の女子高生ということもあり話題になったのを覚えています。
その後、綿谷りさは「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を受賞します。
凄く気になってはいたんですが、実は今回が綿谷りさ作品を読むのは初めてでした。
正直に言うとそんなに凄く好きな作品ではなかったんですけど、なんか将来性は凄く感じる作品でした。
最初に数ページはちょっと微妙だな、って思ってたんですけど、読み進めていくうちにどんどん良くなっていった感じがあるので。
17歳の女子高生朝子はある日から学校へ行かない決意をする。
学校に行かなくなった朝子は環境を一新しようと、部屋の中の物を全て捨てることに。
朝子が部屋の物をマンションのごみ捨て場へ運んでいる時に出会った同じマンションに住む小学生かずよしは朝子の捨てようとしているコンピューターを欲しいと言いだす。
どうせ捨てるものだからってことで、かずよしにコンピューターをあげることに。
ある日、母親の使いでかずよしの部屋を訪れた朝子はかずよしの部屋の押し入れにあるコンピューターを見つける。
そして、かずよしからこのコンピュータを使って風俗チャットのアルバイトを一緒にしないか、と持ちかけられる。
どうせ学校休んでやることもないし、なによりいかがわしい世界に興味を持った朝子は風俗嬢雅の代わりにチャットで男子客を喜ばせるバイトを引き受けることになるが・・・・・
といった内容です。
この小説が発表されたのが2001年ってことで、まだ今のようにネットが一般的ではない時代の物語です。
この頃はまだインターネットって言葉が出てきたくらいではないかな、って思います。
その前はパソコン通信って言ってましたよね。
で、有料のチャットルームで風俗嬢がチャットするというなかなか斬新なサービスを開始している風俗店がこの小説には登場します。
今だと、webカメラとかで本人の映像が出るものが多いような気もしますが、この頃は文字の会話のみでサービスが成り立っていたんですね。
小説の内容的には17歳の少女が自分の世界を一度壊して、再び再生するまでの物語といった感じでしょうか。
学校との関係や、母親との関係、友人との関係。
これらの関係を全て壊して再び立て直していく過程のようなものを描いているように見えました。
タイトルの「インストール」というがその立て直しのような意味で作中にも使われていたので、やはりその辺を意識して付けたタイトルなのかな、って関心。
正直、自分が17歳の頃にそんな小説絶対に書けないだろうな、って思います。
今でも書けませんが。
主人公の少女は作者と同じ17歳の高校生なので、とてもリアリティのあるキャラクターになっていたと思います。
そして、チャットルームに現れる様々に人間に関しても、なんでこんなにわかるんだろう?て思うくらいリアルに感じることができて、凄いな、って素直に思いました。
決して面白い物語ではないんですけど、少女と社会の関係の微妙なバランスを、実際の少女が描いたという点では凄く新鮮で興味深い作品だと思います。
綿谷りさの作品は他のものもぜひ読んでみたいと思いました。
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